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January 31, 2024

第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者コンサート

●30日は東京オペラシティ第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者コンサートへ。同コンクールの優勝者、カナダのエリック・グオが鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパンと共演。プログラムはモーツァルト「フィガロの結婚」序曲、ショパンのピアノ協奏曲第2番、同第1番。使用楽器は1843年製のプレイエル。ショパン国際ピリオド楽器コンクールの優勝者への興味もさることながら、ピリオド楽器でショパンの協奏曲を聴ける機会そのものが貴重。過去に1回あったかな……というくらい(アヴデーエワとブリュッヘン&18世紀オーケストラ、だったか)。客席は盛況。
●エリック・グオ、2002年生まれとあって本当に若い。多彩な音色による情感豊かなショパンで、パッションも十分。まだ雰囲気はアーティストというよりコンテスタント風。今年で22歳、あらゆる可能性に満ちている。後半、第1番がより楽しめた。フォルテピアノ、音色が無理なくオーケストラのサウンドに溶け込むのが吉。これだけ音色が違うと、モダンピアノはもはや別の楽器だと思うけど、それにもかかわらずモダンピアノを駆使して広大な「ショパン芸術」の世界が築かれているのが再現芸術たる音楽のおもしろいところなんだと思う。
●ショパンのオーケストレーション、あれこれ言われるけど、第1番の第2楽章冒頭とか、とても美しい。
●ショパンの創作史のなかで若き日のほんのひとときに書かれた2曲の協奏曲が、ショパン・コンクールのファイナルの曲目として決定的な影響力を持っていることにアイロニーを感じなくもない。ピリオド楽器のコンクールでもやっぱりファイナルは協奏曲なんだと思ったけど、協奏曲がワルシャワ時代の名曲である以上、ワルシャワのコンクールで大事にされるのは当然か。
●アンコールを4曲も演奏してくれた。ショパンの前奏曲ホ短調op28-4、同嬰ヘ長調op28-13、マズルカ イ短調op59-1、ワルツ第4番ヘ長調op34-3(猫のワルツ)。ソロもたくさん聴けてうれしい。