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February 22, 2024

新国立劇場 2024/2025シーズンラインアップ説明会

新国立劇場 2024/2025シーズンラインアップ説明会
●21日は新国立劇場の2024/2025シーズンラインアップ説明会。例年であればオペラ、バレエ&ダンス、演劇の3部門が同時に開催されるのだが、今年はオペラが独立した形で開催。なので、登壇は大野和士オペラ芸術監督のみ。会場は劇場のホワイエ。24/25シーズンのラインアップは新制作3演目とレパートリー6演目で、合計9演目41公演。23/24シーズンはおもに経済的な事情により新制作は2演目に留まったわけだが、24/25シーズンは3演目に戻ることになった。ほっ。新制作の演目はベッリーニ「夢遊病の女」、ロッシーニ「ウィリアム・テル」、そして委嘱作の世界初演となる細川俊夫「ナターシャ」。
●大野監督が就任当初から力を入れたいと話していた路線のひとつがベルカント・オペラ。新国立劇場初上演となる「夢遊病の女」がラインアップに入った。テアトロ・レアル、バルセロナ・リセウ大劇場、パレルモ・マッシモ劇場との共同制作で、22年にマドリッドで初演されている。バルバラ・リュックの演出、マウリツィオ・ベニーニの指揮。アミーナ役はMETなどでも活躍中の新星ローザ・フェオーラ、エルヴィーノ役はスター、アントニーノ・シラグーザ。
●ロッシーニ「ウィリアム・テル」の原語による舞台上演は日本初なのだとか。ロッシーニの最後のオペラとして言及される機会は多いが、序曲ばかりが有名で、実際に舞台で目にする機会はまれ。ただ、かなり長くて、4時間くらいかかる。どれくらいまで短くできるか、他の劇場のカットも参考にしつつ、ここは切れるんじゃないか、でもここは切ってはいけないんじゃないか……と議論しながら、新国立劇場バージョンを作ったのだとか。ヤニス・コッコス演出、大野和士指揮。題名役はこの役を各地の劇場で歌っているゲジム・ミシュケタ。ほかにルネ・バルベラ、オルガ・ペレチャッコらの歌手陣。
●細川俊夫「ナターシャ」では、台本を多和田葉子が手掛ける。多和田葉子はドイツを拠点に活動し、しばしばノーベル文学賞候補にも挙げられる作家。今回の作品は日本語、ドイツ語、ウクライナ語ほかによる多原語上演。故郷ウクライナを追われた移民ナターシャが日本人青年と出会い、ふたりは謎めいたメフィスト的な存在によって現代の地獄へと誘われるが……といった筋立てが紹介された。国際的にも注目を集めそうなプロダクション。
●レパートリー公演は「魔笛」「さまよえるオランダ人」「フィレンツェの悲劇&ジャンニ・スキッキ」「カルメン」「蝶々夫人」「セビリアの理髪師」。アレックス・オリエ演出の「カルメン」は、初演時にコロナの感染対策上、さまざまな演出上の制約があったが、今回は制約なしの演出に練り直すという。演出家も来日するということなので、再演ながらもこれが本来の姿ということになりそう。
英国 オペラ誌 2024年2月号●ラインアップの説明に先立って、大野監督が最初に嬉しそうに紹介してくれたのは イギリスのOpera誌の2月号の表紙。このように新国立劇場の「シモン・ボッカネグラ」の舞台が表紙になっている。世界的アーティストであるアニッシュ・カプーアの装置が話題を呼んだ公演で、フィンランド国立歌劇場およびテアトロ・レアルとの共同制作により新国立劇場が最初に上演したプロダクション。雑誌の表紙を飾るのはインパクト大。新国立劇場の国際的なプレゼンスが増していることを実感する。