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March 14, 2024

アンドレア・バッティストーニ指揮東京フィルの「カルミナ・ブラーナ」

●13日は東京オペラシティでアンドレア・バッティストーニ指揮東京フィル。前半にレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」第2組曲、後半にオルフの「カルミナ・ブラーナ」(ソプラノにヴィットリアーナ・デ・アミーチス、カウンターテナーに彌勒忠史、バリトンにミケーレ・パッティ、新国立劇場合唱団、世田谷ジュニア合唱団)。レスピーギとオルフによる20世紀の温故知新プロだが、両曲ともに歴史的関心以上にエンタテインメント色が強いのが吉。前半のレスピーギは第3組曲が有名だが、第2組曲を聴けたのは貴重。管楽器も含む編成で華やか。
●後半の「カルミナ・ブラーナ」はスペクタクル。どう考えてもバッティストーニにぴったりの作品で熱血名演は必至。事実熱い演奏ではあったのだが、少し予想とは方向性が違っていて、マッシブというよりはシャープ、重厚というよりは鋭敏な「カルミナ・ブラーナ」。合唱はバルコニー席中央に児童合唱が並び、左右のサイドにそれぞれ女声と男声を配置。児童合唱の出番は少ないので、もっぱら合唱は左右に偏って聞こえる形に。量で押すのではなく、機動性のある合唱。春風に乗って左右に体を揺らす演出も。独唱陣は三者三様の味わい。彌勒さんは「白鳥丸焼きソング」で隠し持った白鳥のぬいぐるみを取り出してきて、表情豊かに歌う。この白鳥は何年か前にも見たことがあるんだけど、やっぱりおもしろいし、こういうノリが似合う作品だと思う。ソプラノは可憐。バッティストーニのエネルギッシュな指揮のもと、「ブランツィフロールとヘレナ」で壮麗なクライマックスが築かれ、最後に「おお、運命の女神よ」が戻ってくる。この瞬間はやはり鳥肌もの。
●字幕はなく対訳配布。客席ではぎりぎり読めるかどうかの照度だけど、若い人なら難なく読めるかも。逐一は読まないにせよ、あると助かる。
●客席が若い。もちろんベテランも多いのだが、十代、二十代がぜんぜん珍しくない。東フィルだからなのか、オペラシティだからなのか。全般に客席がシャキッとしている。