amazon
March 15, 2024

オメル・メイール・ヴェルバー指揮ウィーン交響楽団のベートーヴェン

●14日はサントリーホールでオメル・メイール・ヴェルバー指揮ウィーン交響楽団。売り出し中の指揮者、ヴェルバーを初めて聴く。長身痩躯で全身を使ったダイナミックな指揮ぶり。プログラムはベートーヴェンの交響曲第8番と第7番という、ど真ん中のストレート。ウィーン交響楽団は温かみのある大らかなサウンドで、懐かしさを覚える。シャープではなく、柔らかい。20世紀の伝統に即したベートーヴェンをベースとして、そこにヴェルバーが強弱やテンポの変化をもたらして細部に意匠をこらす。前へ前へと猛進するベートーヴェンで、とくに第7番は精力的。意表を突かれたのは第1楽章がおわって、そのままアタッカで第2楽章につなげた場面。これは珍しいパターン。他の楽章では普通に間を取っていた。
●かなり短いプログラムだったが、アンコールが2曲も。まずはヨハン・シュトラウス2世&ヨーゼフ・シュトラウス合作の「ピッツィカート・ポルカ」、続いてトロンボーン奏者たちが袖から出てきてブラームスのハンガリー舞曲第5番。どちらも緩急自在、開放的な気分でしめくくった。
●客席には大勢の小学生から高校生の姿。詳細は知らないのだが、若者向け鑑賞プログラムの対象になっていたようで、かつてないほど客席の平均年齢が若かった。開演前、もしかしたら客席がざわつくかなと思ったが、実際にはその逆で完璧に静か。みんなびっくりするほど行儀がよく、曲が終わると大喝采。拍手の立ち上がりに十代ならではのキレを感じる。気のせいだろうか。
------
●宣伝を。ONTOMOの連載「おとぎの国のクラシック」第9話「乙女戦争」が公開中。今回はスメタナの連作交響詩「わが祖国」の「シャールカ」について。交響詩「シャールカ」がどんな場面を描写しているかは曲目解説などで目にすると思うが、その前後の物語、なぜ女と男が戦争をすることになったのか、そしてこの戦争はどう決着したのかを書いている。ご笑覧ください。