●25日は東京オペラシティで川瀬賢太郎指揮名古屋フィル。2023年4月に川瀬賢太郎が名フィル音楽監督に就任して最初の東京公演。プログラムはレスピーギの「ローマ三部作」。客席はしっかり埋まっていた。18時30分から開演前のロビーコンサートがあり、なんとヴィオラだけのアンサンブル。本編に合わせてレスピーギ、ヴェルディを。開演前にロビーで聴く室内楽は久々の体験。ヴィオラならではの深みのある音色。
●「ローマ三部作」は前半に交響詩「ローマの噴水」と「ローマの松」、後半に「ローマの祭」。「噴水」の第1曲から精妙で、しっかりと練り上げられている様子が伝わってきた。明快でくっきりしたサウンド。「ローマの松」はバンダを左右中央に配置して、立体音響(鳥も)による一大スペクタクル。オーケストラは鳴りに鳴って、オペラシティの空間には収まりきらないほど。休憩後の「ローマの祭」も華やか。「主顕祭」のおしまいの乱痴気騒ぎは爆速。史上最速(自分比)の高速フィナーレだったが、荒っぽくならず、むしろアスリート的。これもふだんこのホールで耳にすることのないレベルの大音響で、強烈だった。客席の喝采の後、川瀬がマイクを持って登場し、この日で退団のコンサートマスター日比浩一へのメッセージを述べ、花束贈呈と挨拶。アンコールにイタリア音楽つながりでマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲。弦楽器の潤いのある質感が見事。現在の名フィルの演奏水準の高さを改めて実感した一夜。
●プログラムノートが今でもB5サイズなのは珍しい。文字が大きいのはありがたいが、半分に折らないと小さなカバンには収まらない。全曲全パートについての出演者一覧を記した紙が挟んであって、これはうれしい。あと、名フィルは地元では18時45分開演みたいだけど(広響もそうだっけ?)、東京では19時開演だった。そりゃそうか。でも18時45分開演って少しうらやましい。特にコロナ以降だけど、なるべく夜遅くに出歩きたくないと感じるようになってきたので……。
●3月後半に入って、オーケストラ・アンサンブル金沢、九州交響楽団、群馬交響楽団、名古屋フィルと各地のオーケストラの東京公演が続いたんだけど、この時期に集中する理由はなにかあるのだろうか。全国オーケストラ音楽祭が自然発生している。
March 26, 2024