amazon
April 19, 2024

東京・春・音楽祭2024 ヴァイグレ指揮読響のリヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」演奏会形式

東京・春・音楽祭 2024 ヴァイグレ 読響 「エレクトラ」
●18日は東京文化会館で東京・春・音楽祭。セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のリヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」演奏会形式。本来であれば2022年に読響定期で上演されるはずだった「エレクトラ」だが、コロナ禍の入国制限により実現しなかった。それが今回、東京・春・音楽祭の公演として復活! こんな形で機会が巡ってくるとは。演奏会形式の「エレクトラ」といえば、昨年、ジョナサン・ノット指揮東響で鮮烈な演奏を聴いたばかりだが、今年もまたとてつもない「エレクトラ」を体験することになった。
●歌手陣はエレクトラにエレーナ・パンクラトヴァ、クリソテミスにアリソン・オークス、クリテムネストラに藤村実穂子、オレストにルネ・パーペ、エギストにシュテファン・リューガマー。題名役に人間離れした歌唱が求められるオペラだが、パンクラトヴァは堂々たるエレクトラ。強靭さという点ではノット&東響のクリスティーン・ガーキーに一歩譲るかもしれないが、それでも強烈。ガーキーの怪女ぶりに比べれば、声の温もりもあって、復讐心以前の父への愛を感じさせる。最後の場面、控えめながらも踊ってくれた。あの場面は客席でいっしょに踊りたくなる(ウソ)。アリソン・オークスのクリソテミスもエレクトラに負けていない。ふつうのお母さんになりたいとか言っているけど、実は第二のエレクトラ的な存在なのかも、と思わせる。ルネ・パーペのオレストは格調高い。深い声で空気を一変させる。
●ヴァイグレ指揮読響は凄絶。大編成のオーケストラの咆哮が文化会館の空間に響き渡り、演奏会形式ならではのダイナミズムを堪能。はなはだ苛烈な音楽ではあるのだが、一方で柔らかく官能的な響きも印象的で、表現の幅は広い。このコンビの記念碑的な公演になったのでは(まだもう一公演あるけど)。なんというか、ごうごうと燃えていた。