●23日は東京オペラシティのリサイタルホールでB→C(ビートゥーシー)阪田知樹(ピアノ)。全席完売。このシリーズにふさわしい意欲的なプログラムで、バッハとコンテンポラリーという軸に加えてイタリアがテーマになっている。前半がマルチェッロにもとづくバッハの協奏曲ニ短調BWV974からアダージョ、バッハのイタリア協奏曲、ブゾーニ「エレジー集」から「イタリアへ!」、リストのBACHの主題による幻想曲とフーガ、後半がブゾーニの「偉大なるヨハン・ゼバスティアンによる小ソナチネ」、マイケル・フィニッシーの「我ら悩みの極みにありて」(1992)、ビューロー~リスト編のダンテのソネット「いと優しく、いと誠実な」、ポウル・ルーザスのピアノ・ソナタ第1番「ダンテ・ソナタ」(1970)、ジェラール・ペソンの「判じ絵、ローマ」から「ペンナを読んで」(1991〜95)、アイヴズの「スリー・ページ・ソナタ」。多彩。洗練された技巧と音色表現の妙ですべてが聴きものというべき充実度。
●前半、「イタリア協奏曲」が明快でみずみずしい。後半はモダンな作品が並んだが、もっとも印象的だったのはポウル・ルーザスの「ダンテ・ソナタ」。この日のプログラムのなかでは唯一、長めの作品で、2楽章構成。晦渋な作品ではあって正直長さも感じるのだが、なにしろ「地獄篇」なので。第1楽章では強靭な打撃の連続から硬質なリリシズムが立ち昇り、第2楽章では陰鬱さがやがて宗教的恍惚へと昇華される。力量ある奏者あってこその聴きごたえ。続くジェラール・ペソンの「判じ絵、ローマ」から「ペンナを読んで」は音数の少ない抑制的な表現が微細なニュアンスを作り出す。アイヴズ「スリー・ページ・ソナタ」はあらかじめ本編に組み込まれたアンコールかなとも思ったけど、本物のアンコールがあって、レジス・カンポの「星月夜 〜 マルチェロ・バッハによる」。この日の冒頭に演奏されたマルチェッロ~バッハの協奏曲のアダージョの枠組みにゴッホの「星月夜」のイメージを重ね合わせた抒情的な作品で、円環を閉じるようにきれいに終わった。
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●ベルリン・フィルの2024/25シーズン・プログラムが発表された。25年6月に山田和樹がデビュー!レスピーギ「ローマの噴水」、武満徹「ウォーター・ドリーミング」、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」というプログラム。大成功しますように。ほかに日本人では25年3月のメータ指揮の公演で、ソリストとして2011年生まれのHIMARIが登場、ヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第1番で独奏を務める。
April 24, 2024