amazon
April 25, 2024

クリストフ・エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団のシューマン

クリストフ・エッシェンバッハ NHK交響楽団
●24日はサントリーホールでクリストフ・エッシェンバッハ指揮N響。オール・シューマン・プログラムで「ゲノヴェーヴァ」序曲、チェロ協奏曲(キアン・ソルターニ)、交響曲第2番。ときにはかなりアクの強い表現を聴かせるエッシェンバッハだが、今回は作品とぴたりと共鳴して圧倒的なシューマンに。オーケストラからすごい音が出てきた。深くて重厚なのだが、しばしば輝かしい。造形も独特。軋みながら進むといった趣で、どんどん白熱する巨大な音楽。そしてほの暗い。協奏曲のソリスト、キアン・ソルターニは豊かな音色。アンコールに自作を弾くといって、激しいビートに乗せて次々と変化に富んだパッセージを繰り出す。荒っぽい曲だったが、曲名は「ペルシアの火の踊り」と後で知って納得。自身のルーツにちなんだ曲のよう。やはり白眉は交響曲第2番で、胸のすくような爆速スケルツォから、深く没入するような第3楽章へのコントラストが見事。
●で、第3楽章が終わったところで、ホールの天井のほうからゴゴゴゴゴという轟音が聞こえた。あ、地震か、と思ったのだがほとんど揺れを感じない。エッシェンバッハは意に介さない様子で第4楽章に入った。どこか遠くで大きな地震があったのか(また能登じゃないといいけど……)、それとも突風とか竜巻みたいなものが上を通ったのか、いろいろ気になってしまった。でもその場でできることはないので、緊張したまま音楽を聴き続ける。終演後、携帯の電源を入れて、やはり地震だったのだと知るが、茨城県北部震源で大きなものではなかった。東京は震度2だったけど、それであんな音が鳴るとは。
●コンサートマスターを前半は郷古廉、後半は川崎洋介(ゲスト・コンサートマスター)が務めた。前後半で席を入れ替わる珍しい形。後半、しばしば腰を浮かせて全身でリードする川崎氏の姿が熱かった。