●ゴールデンウィーク最終日の6日は、東京芸術劇場で下野竜也指揮による「N響 ドラゴンクエスト・コンサート ~そして伝説へ…~」。チケットはあっという間に完売だったそう。前半がすぎやまこういちの交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁~「序曲のマーチ」、エルガーの組曲「子どもの魔法のつえ」第1番~「序曲」「メヌエット」「妖精と巨人」、交響組曲「ドラゴンクエストIV」導かれし者たち~「海図を広げて」「栄光への戦い」、ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1919年版)~「カッチェイ王の魔の踊り」「こもり歌」「終曲」、後半が交響組曲「ドラゴンクエストIII」そして伝説へ…(1987年N響録音版)。ドラクエとクラシックを組合わせたプログラムなのだが、こうして聴いてみると、両者は地続きの関係にあると感じる。いわば「冒険」をテーマにした20世紀オーケストラ名曲集というか。ドラクエの音楽がすでにクラシック音楽化しつつあるともいえるし、逆にこの並びで聴くとエルガーやストラヴィンスキーがゲーム音楽的にも聞こえてくる。エルガーのメヌエットは魔物に襲われた後の廃墟となったお城の音楽、ストラヴィンスキーの魔王カッチェイは大ボス戦の音楽、みたいに。
●ドラクエ3と4といえば初代ファミコン時代。プレイ時にはむき出しの電子音で曲を聴いていたわけだけど、作曲者がイメージしていたのは壮大なオーケストラのサウンド。そのイマジネーションが現実化していたのがこの日の演奏で、ドラクエの音楽ってなんてカラフルで情感豊かな音楽なんだろうと実感。「王宮のロンド」とかラーミアのテーマを聴くと、ぐっと来る。
●客席の熱量が半端ではなかった。演奏中、だれも下を向かずに、みんな舞台を凝視している。なかなかこういう公演はない。アンコールに交響組曲「ドラゴンクエストV」の「結婚のワルツ」。楽員退出後も拍手が止まず、なんと、下野さんのソロ・カーテンコールに。
●この公演のプログラムノート原稿を執筆。さらに、有料ライブ配信(アーカイブあり)があったのだが、休憩時のトークコーナーでゲスト出演させていただいた。かつてドラクエにハマった者としては光栄な限り。はぐれメタル級の経験値を得られた気がする。
May 7, 2024