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May 23, 2024

ルイージ指揮NHK交響楽団のニールセン「4つの気質」他

ルイージ NHK交響楽団
●22日はサントリーホールでファビオ・ルイージ指揮N響。プログラムはブラームスのピアノ協奏曲第1番(ルドルフ・ブッフビンダー)とニールセンの交響曲第2番「4つの気質」。チケットは完売。ブッフビンダー(N響表記ではブフビンダー)は「東京・春・音楽祭」でのベートーヴェン・シリーズが記憶に新しいところ。そのときも感じたけど、思わせぶりのところのない直截なところが身上か。作品の巨大さをことさらに感じさせず、自然体。貫禄のブラームス。
●後半のニールセンは出色。あまり演奏されない曲だけど、作品の真価を伝える雄弁さ。古代ギリシャ以来の「四体液説」を題材にしていて、第1楽章が短気で荒々しい黄胆汁質、第2楽章が優柔不断な粘液質、第3楽章が神経質な黒胆汁質、第4楽章が楽天的で陽気な多血質といったように各楽章のキャラクターが設定されている。これらの気質がはっきりと打ち出されたカリカチュアのような演奏で楽しい。第2楽章など相当可笑しい。コンサートマスターは川崎洋介。今回も腰を浮かせんばかりの全身を使った身振りでアンサンブルをリード。
●プログラムノートのIKEさんのイラストが毎回すばらしいのだが、今回もニールセンの「4つの気質」に対応した4つの表情が冴えている。
●「4つの気質」といえばヒンデミットにも、ピアノとオーケストラのための作品がある。ヒンデミットとニールセンを両方演奏して「8つの気質」プログラムはどうか。ヴィヴァルディとピアソラの「四季」を合わせた「エイト・シーズンズ」はわりと人気だと思うので、きっと「8つの気質」もヒットする……わけないか。