amazon
June 10, 2024

ヴォーチェ弦楽四重奏団 サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2024●7日はサントリーホールのブルーローズで、チェンバーミュージック・ガーデン。「カルテット with...」というシリーズ企画の一夜で、ヴォーチェ弦楽四重奏団とメゾ・ソプラノの波多野睦美が出演。弦楽四重奏+αの多彩なプログラムが魅力。前半がドビュッシーの弦楽四重奏曲、イヴ・バルメールの「風に舞う断片」日本初演、後半がドビュッシー(バルメール編曲)の「抒情的散文」より(ソプラノと弦楽四重奏用編曲)日本初演、ラヴェルの弦楽四重奏曲。ドビュッシーとラヴェルの名曲の間にフレッシュな作品がはさまれるという構成。
●ヴォーチェ弦楽四重奏団のメンバーはコンスタンス・ロンザッティ、セシル・ルーバン、ギヨーム・ベケール、アルチュール・ユエル。当初発表からチェロ奏者が変わり、さらにヴァイオリンのサラ・ダイヤンが体調不良のため元ディオティマ弦楽四重奏団のコンスタンス・ロンザッティが代役を務めた。全員譜面台にタブレットを置いて演奏。
●現代のフランスの作曲家、バルメールの「風に舞う断片」はまさに題名通りの風に舞うような曲で、とくにドビュッシー風ではないのだが、その遠い延長上にあっておかしくない曲。モダンではあるけど、聴きやすい。これが白眉だったかも。作曲者臨席。「抒情的散文」も洗練された味わい。ドビュッシーとラヴェルは鋭利でクリア、いくぶんビターテイスト。両曲ともすごい傑作だと改めて感じるけど、ふたりとも弦楽四重奏曲は一曲しか残していない。ベートーヴェンみたいに16曲とは言わないが、3曲ずつくらい書いてくれてもよかったのに。アンコールにふたたび「抒情的散文」より第4曲「夕べ」。