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June 14, 2024

バッハ・コレギウム・ジャパン コラールカンタータ300年プロジェクトII

●13日は調布市文化会館たづくり「くすのきホール」でバッハ・コレギウム・ジャパン。全10回にわたるコラールカンタータ300年プロジェクトの第2回。指揮は鈴木雅明、ソプラノに松井亜希、アルトに久保法之、テノールに櫻田亮、バスに加耒徹。プログラムはバッハのカンタータ第93番「愛するみ神にすべてを委ね」、カンタータ第94番「私はこの世になにを求めよう」、カンタータ第101番「私たちから取り去ってください、主よ、まことの神よ」、カンタータ第10番「わが魂は主を崇め」。当初発表されていた曲順は10番、93番、94番、101番だったのだが、上記のように変更。この4曲だとおしまいはいちばんドラマティックな101番が来そうなものだけど、10番で終わる形に変更したのはどうしてなんでしょ。
●どの曲も聴きごたえ大だけど、とくに印象に残るのは第101番。この曲って冒頭の合唱からただ事ではない雰囲気で、心がざわざわする。ダークサイドに一歩踏み込んでいるというか。第6曲のソプラノとアルトの二重唱がすごい。二重唱なのに歌手が定位置のまま始まって、しばらくフラウト・トラヴェルソとオーボエ・ダ・カッチャ(「ターユ」って言うの?)のためのコンチェルトみたいになる。これが絶妙の音色の組合せでゾクゾクする。で、曲の途中で歌手ふたりが歩いてきて前に立って二重唱を歌う。これが絶美。最後にまたトラヴェルソとオーボエが帰ってくる。器楽と声楽、一粒で二度おいしい。
●カンタータ第10番は第4曲のバスのアリアがおもしろい。「高き者は低くされ、低き者は挙げられる」って言うんだけど、なんだかユーモラスでかわいい。第5曲のアルトとテノールの二重唱とコラールでは、コルネット(ツィンク)の音色がインパクト抜群。警鐘を鳴らしているみたいだなと思った。
●会場がいつものオペラシティとちがって調布のくすのきホール。コンパクトな空間でかなりぜいたく。