●14日はNHKホールで沖澤のどか指揮N響。プログラムはイベールの「寄港地」、ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲(デニス・コジュヒン)、ドビュッシーの「夜想曲」(東京混声合唱団)というフランス音楽プログラム。休憩なし。イベールの「寄港地」、つい最近聴いたノット&東響ではプログラムの最後に置かれていたけど、この日は最初の曲。冒頭からスモーキーなとても柔らかい音色。第2曲のエキゾチックなオーボエ・ソロも見事。ラストは鮮烈。それだけの音楽ではないにせよ、観光音楽としての楽しさがある。ラヴェルの「左手」は堂々たるたくましいソロ。ソリスト・アンコールにチャイコフスキーの「子供のアルバム」から「教会で」。ドビュッシー「夜想曲」が白眉。第2曲「祭」はスペクタクル。よく鳴るけど、響きのバランスが保たれて壮麗。第3曲「シレーヌ」は舞台下手側に陣取った女声合唱とともにしなやかで滑らか。求めるサウンドをN響からしっかりと引き出したという感。それにしても女声合唱の出番がこれだけとは、ぜいたく。
●この日は19時30分開演のC定期で、休憩なしのやや短めプログラムだったのだが、開演前の室内楽が18時45分からステージ上で演奏された。この日はなんと、ジョリヴェの「クリスマスのパストラール」。フルートの甲斐雅之、ファゴットの水谷上総、ハープの早川りさこが登場。こういった珍しい編成の曲を演奏できるのが、オーケストラによる室内楽の強み。田園的な爽快な曲調で始まるけど、第2曲は呪術的な妖しさがあってジョリヴェの本領発揮……と思ったら、どうやらこれは東方の三博士。満喫。しかし、この変則フォーマットは今回でおしまい。次シーズンからはC定期も普通の休憩ありプログラムになり、開演前の室内楽はなくなる。これまでにもいろんなオーケストラや音楽祭が試みているけど、19時よりも遅い開演というのはなかなか定着しづらいようだ。
●で、この「クリスマスのパストラール」は本来ならファゴットとハープのおふたりがN響の定年を迎える12月に演奏するつもりだったのだとか。が、もう来季は開演前の室内楽がないので、代わりに6月に繰り上げたとトークで話してくれた。どうして今、クリスマスなのか、その謎が解けた。
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●ドイツでEURO2024がすでに開幕。その話題はまた改めて。
June 17, 2024