●練馬区立美術館の「三島喜美代―未来への記憶」展へ(7月7日まで)。初期油彩画から立体作品、大型インスタレーションなど約90点からなる展示。陶に印刷物を転写した「割れる印刷物」と呼ばれる一連の作品が目を奪う。ぱっと見、紙だったり金属だったりに見えるけど、実体は陶。レモンの段ボール箱、巨大な少年ジャンプや少年マガジンなど。
●空き缶がぎっしり入った屑籠、昔はあちこちで見かけたけど今では考えられない。これが陶器なのかという驚きとともに、奇妙なノスタルジーを喚起する。
●ハイライトは「20世紀の記憶」と題された大規模インスタレーション。部屋一面にレンガが敷き詰められていて、一見、瓦礫のよう。遠目にも迫力があるのだが、レンガに近づいてみるとひとつひとつに新聞記事が転写されている。これが20世紀の100年間から選ばれた記事で、どれを見ても大きな事件や歴史の転換点となるような出来事が記されている。記憶とはこういったランダムに並んだ断片の集積物のようなものなのか。床に敷き詰められたレンガ(中古の耐火レンガ)は1万個にも及ぶとか。