●19日はサントリーホールで鈴木優人指揮N響。プログラムはウェーベルンのパッサカリア、シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲(イザベル・ファウスト)、バッハ~ウェーベルンの「リチェルカータ」、シューベルトの交響曲第5番。新ウィーン楽派にシューベルトが組み合された。新旧のウィーン音楽、そしてモダンとロマンを対比させたコントラストの効いたプログラム。前半のほうが作品規模が大きく、後半になると小さくなる。ゲストコンサートマスターにマインツ州立管弦楽団で第1コンサートマスターを務める西村尚也。
●やはりプログラムの中核をなすのはシェーンベルクだろう。イザベル・ファウストの渾身のソロ。と言いつつも、この曲は正直なところ晦渋な曲ではある。たぶん、それは曲が無調だからとか十二音技法だからというだけの理由ではなく、作品固有の性格としてツンとしているというか、眉間にしわを寄せたようなところがあるのかなという気もする。第1楽章にはユーモアも感じるし、第3楽章には舞踊性や喜悦もあるのだが。場内は大喝采で、ソリスト・アンコールとしてニコラ・マッテイス(父)作曲のヴァイオリンのためのエア集第2巻から「パッサッジョ・ロット」。
●後半、バッハ~ウェーベルン「リチェルカータ」を聴くと、条件反射的にラジオの「現代の音楽」オープニングを思い出すが(古すぎ)、今や古典か。シューベルトがやや速めのテンポで始まると、ガラリと雰囲気もオーケストラの音色も変わった。開放的で大らかな音楽の喜び。でも終わってみると、胸のなかにじっと留まっているのはシェーンベルク。
June 20, 2024