●20日は東京オペラシティで阪哲朗指揮山形交響楽団。プログラムはモーツァルト「魔笛」序曲、「戴冠式ミサ」、ニキシュの「ネッスラーのオペラ『ゼッキンゲンのトランペット吹き』のモチーフによるファンタジー」、ブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲(辻彩奈、上野通明)。なんと、「戴冠式ミサ」のために山響アマデウスコアが帯同。しかもソプラノ老田裕子、アルト在原泉、テノール鏡貴之、バリトン井上雅人の独唱陣に、ブラームスで辻彩奈と上野通明も出演するというソリスト計6名の豪華仕様。すごすぎる。おまけに恒例の山形のさくらんぼプレゼント(10人にひとり当選する)もあって、大盤振る舞い。会場内では好評の山形物産展も開催される。開演前のトークではマエストロも法被を着て登場。祭だ。
●前半、モーツァルトでは金管楽器とティンパニにピリオド楽器を使用。全体の造形はHIPというよりは20世紀モダン寄りだが、これはこれで音色面で効果的。合唱団は規模が大きめで、厚みがあり力強い。ニキシュ作品は山響が日本初演した曲なのだとか。こういった作品を持っているのは強み。ネッスラーのオペラのメロディをつなげたファンタジーということなので、ネッスラーの曲を大指揮者ニキシュが時を超えて阪哲朗に託したといった趣。白眉はブラームスの二重協奏曲。ふたりのソリストを指揮者の下手側に並べる配置で、これだと第1ヴァイオリンがずいぶん指揮者から遠くなってしまってどうなのかと思いきや、辻彩奈と上野通明の丁々発止のやりとりで一気に音楽が熱くなった。ともに強いパーソナリティをもったふたりだが、最初の上野のソロから音楽の内側にぐっと踏み込むような気迫のこもった表現で空気が一変、オーケストラもこれに応えてくれた。やはりこうでなくては。アンコールにヴァイオリンとチェロの二重奏で「魔笛」の「鳥刺し」。編曲者はどなたなんでしょう。「魔笛」ではじまり「魔笛」で終わった。
●山形物産展は大盛況。さくらんぼだけじゃなく、和菓子など、おいしそうなものがたくさん並んでいて、飛ぶように売れる。帰りにおみやげとして、でん六「味のこだわり」とシベールのラスクの小袋が全員にプレゼント。うまし。
June 21, 2024