●4日はサントリーホールでヤクブ・フルシャ指揮都響。先日は珍しい曲が並んだチェコ音楽プログラムだったが、今回はブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番(五明佳廉)とブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」(コーストヴェット:1878/80年)。これは一般的な第2稿で、2018年刊行の校訂版。同一プログラムで2公演あるが、チケットは完売。コンサートマスターに矢部達哉、トップサイドに水谷晃の強力布陣。
●ブルックでは五明佳廉がスケールの大きな表現で、かなり濃厚な味わい。鋭く芯の強い音。これにオーケストラも雄大なサウンドでこたえる。もともとシンフォニックな協奏曲だが、これだけたっぷりと鳴らした演奏はなかなか聴けない。アンコールが意外な路線で、ピアソラのタンゴ・エチュード第3番。無伴奏ヴァイオリンで聴くピアソラはかなり新鮮な感じがする。
●後半のブルックナー「ロマンティック」は重厚というよりは強靭。剛性が高い。一般的にこの曲に期待される深い森や大自然を思わせる響きや、音の大伽藍といった荘厳さは希薄で、むしろヒロイックで直線的なドラマに貫かれている。とくに終楽章は熱く、ベートーヴェン的な歓喜とか勝利のような人間的な高揚感があって、この作品に叙事詩的な性格を読みとることもできるのかもしれないと思った。
●終演後は早々に席を立つ人とずっと拍手を続ける人に二分された感じ。熱烈な喝采に応えて、フルシャのソロ・カーテンコールに。
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●EURO2024は二日間のお休みを経て、本日の深夜から準々決勝。いきなりスペイン対ドイツのビッグマッチで始まる。明朝、時間差観戦するので、うっかり結果バレしないように気をつけねば。
July 5, 2024