●ベルリンで開催されたEURO2024の決勝はスペイン対イングランド。ここまで全勝、圧倒的な完成度を見せてきたルイス・デラフエンテ監督のスペインと、3勝3分ながら勝負強さで勝ち上がってきたギャレス・サウスゲート監督のイングランド。好チーム同士の対戦と感じるのは、どちらも自分たちでボールを保持し、主導権を握ることを好むタイプのチームだからなのだろう。その点では前回大会のイタリア対イングランドも同様だった。
●試合が始まってみると、ボールを保持したのは圧倒的にスペイン。これは予想通りで、技術の高さではスペインの優位は疑いようがない。前半はお互いにミスの少ないタイトな展開で、ほぼ決定機なし。後半になると攻め合いに。後半2分、スペインは右サイドのラミン・ヤマル(17歳になった)から左サイドのニコ・ウィリアムズ(22歳になった)にボールが渡って先制。若者ホットラインでゴールを決めた。この後、スペインがティキタカでボールを回して逃げ切るかと思いきや、後半28分、イングランドはパーマーがここしかないという場所にミドルを蹴り込んで同点。後半41分、スペインは左サイドバックのククレジャがワンタッチで入れたグラウンダーのクロスに途中出場のオヤルサバルが右足で合わせて2点目。一瞬、オフサイドかと思ったが、VARでもオンサイド。あとはスペインが静かに試合を終わらせて、スペイン 2対1 イングランド。笛が鳴って喜びを爆発させるスペイン。対するイングランドは2大会連続の準優勝となり、エースのハリー・ケインの無冠が続くことに。なにしろバイエルン・ミュンヘンに移籍しても無冠だったのだから、「ケインの呪い」と呼ぶ人が出てくるのも不思議ではない。
●今大会は番狂わせが少なかった。最後もクオリティの高いチームが勝った。スペインは一時期、洗練されたパス回しであるティキタカを突きつめた結果、ゴールが遠い守備的なボール保持に陥ってしまったが、今のスペインはティキタカに両翼のニコ・ウィリアムズとラミン・ヤマルの突破力が融合して、見ていておもしろいチームになった。大会MVPは決勝戦で負傷のため前半で退いたロドリ。
●前回は優勝のセレモニーで、イタリアのボヌッチが「もっとパスタを食え!」と叫んでスタンド煽る場面があった。今大会、それに相当するほのぼのエピソードは、ヤマルが大会中にオンライン授業を受け、学校の宿題を済ませたということか。
July 17, 2024