●先日、高崎芸術劇場でペトル・ポペルカ指揮プラハ放送交響楽団を聴いたが、その際に高崎市美術館と高崎市タワー美術館にも立ち寄った。高崎まで行って演奏会ひとつだけ聴いて帰るのは経済効率がよくないと思い、せっかくなので。高崎市美術館は以前にも訪れているが、高崎市タワー美術館は今回が初めて。高崎駅をはさんで、どちらも駅近くの好立地で、ともに市の美術館のようだ。
●高崎市美術館では「渡辺おさむ お菓子の王国II」が開催中(~9/1)。食品サンプルの技術を用いて、さまざまなものがスイーツでデコレーションされている。全般に「かわいい」トーンで、いかにも「映える」。尖がった要素は希薄ではあるが、ここは建物の少し乾いた感じの雰囲気がよい。落ち着く。
●一部屋、ずらっと長いテーブルに色とりどりのスイーツが並べられた一画があり、中央にふたつ椅子が置いてある。ここに座って撮影ができるという趣向。どう見てもカップルが座って撮影する想定だと思うが、部屋にただひとりの鑑賞者だったワタシに向かって、親切にも係員さんが「撮影しましょうか」と声をかけてくれたので、椅子に座って撮ってもらった。その写真をここに載せようかなと一瞬だけ思ったんだけど、やっぱりみっともないので止める。写真を見て思ったのは、超絶ファンシー空間のど真ん中にひとりオッサンが座ったことで、作品が強烈な批評性を獲得したということだった。
●高崎市タワー美術館では、佐藤晃一のポスターと日本美術を組合わせて展示した「日本美術×グラフィックデザイン」(~9/16)が開催中。こちらはビルの2フロアのみを使ったコンパクトな展示だが、少しレトロモダンな雰囲気の佐藤晃一作品に、伝統的な日本画や浮世絵を組合わせているところに妙味がある。上掲の写真は佐藤晃一の「五季」から。
●高崎芸術劇場、高崎市美術館、高崎市タワー美術館、すべて駅から近く、歩いて回れるのが吉。