●30日はサントリーホールでPMFオーケストラ東京公演。昨年に続き、今年もPMFガイドブックや(札幌&苫小牧公演の)プログラムノートに寄稿させてもらった。ありがたいことである。指揮はマンフレート・ホーネック、ソリストはティル・フェルナー。プログラムはモーツァルトのピアノ協奏曲第22番とマーラーの交響曲第5番で、がっつり。曲も出演者もウィーン・プロだが、もちろんオーケストラは音楽祭のために結成された多国籍集団。若者たちの初々しさがまぶしい。
●モーツァルトのピアノ協奏曲第22番、もともと祝祭感のある大柄な曲だけど、ホーネックの手にかかるといっそうダイナミックに。ティル・フェルナーのピアノは端正で堅実。ソリスト・アンコールにシューベルトの4つの即興曲D.935の第2番。しみじみして詩情豊か。
●前半が長めだったので、後半のマーラーが始まる時点で20時を過ぎていて、客席がだれないかなと案じたのだがこれはまったくの杞憂。マーラーの交響曲第5番では若者たちのエネルギーが大爆発。アカデミー・オーケストラでしか聴けないタイプの一期一会にかける情熱がひしひしと伝わってくる。個々のプレーヤーの技量も高い。ホーネックは起伏に富み明快な音楽を紡ぎ出す。第1楽章からはほとんどアタッカで第2楽章につないで、その後はたっぷりと間をとって第3楽章へ。大活躍のホルンはいつのまにか立奏。第4楽章アダージェットは丹念。終楽章は輝かしくエネルギッシュ。客席は声を挙げての大喝采。首席トランペットと首席ホルンに盛んなブラボーの声。客席が大盛り上がりのなか、ホーネックはさっと合図を出して、シュトラウス「ばらの騎士」のワルツを元気いっぱいに。若いプレーヤーたちの「やり切ったぜ」という表情が尊い。
July 31, 2024