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August 5, 2024

パリ・オリンピック2024 男子サッカー準々決勝 ニッポンU23対スペインU23

ニッポン!●オリンピック男子サッカー、3戦全勝で準々決勝に進んだニッポンU23だが、対戦相手がまさかのスペインU23。スペインはオーバーエイジ枠も使って本気でメダルを獲りに来ている。試合は驚くほどハイレベルの戦いだった。試合の入りはニッポンのペースだと思ったが、次第にスペインがボールをつなぎ出し、前半11分、フェルミン・ロペスが鮮やかなミドルシュートで先制。ここで相手とのレベル差を感じて下を向くのがこれまでのニッポンだったが、ここから互角に渡り合ったところに凄みを感じた。ニッポンの足元の技術が高く、スペインが思うようにボールを奪えない。前半40分、藤田譲瑠チマが素早く縦バスを細谷真大に入れると、細谷は相手ディフェンスを背負った状態から強引に反転してグランダーのシュートをゴールに突き刺した。完全にワールドクラスのスーパーゴールだったと思う。
●が、これがVARで取り消されたんすよね。完璧なゴールだけど、どうやらボールを受けたときの細谷の踵(!)がオフサイドポジションだったって言うんだけど……。あの、長年サッカーを見てきたけど、ポストプレイで相手のディフェンスを背負った選手の踵がオフサイドになったことって、今までに見たことある? いやー、ないでしょ。だって、意味がないもの。オフサイドは待ち伏せ攻撃を防ぐためのルール。ディフェンスを背中に背負ってる選手をオフサイドにする合理的な意味がまったくない。でも、審判はルールを厳密に解釈したのであって、なにも悪くはない。これはVARというテクノロジーに、サッカーのルールが追い付いていない。正確にルールを適用した結果、サッカーのいちばんエキサイティングなシーンが無効になっているわけで、こんなに白ける話はない。
●その後も、セットプレイから細谷は決定機にバーを叩くなどツキがない。オフサイドでゴールが取り消された直後は、むしろ手ごたえを感じてプレイしており、前半は内容でスペインに勝っていたと思う。が、後半はスペインがピッチを広く使ってニッポンのプレスを交わし、ボールを回すと、次第にニッポンの出足が鈍くなり、失点を重ねてしまった。ニッポンU23 0-3 スペインU23
●ニッポンのメンバーはGK:小久保玲央ブライアン-DF:関根大輝、高井幸大、木村誠二、大畑歩夢-MF:藤田譲瑠チマ-山本理仁(→荒木遼太郎)、三戸舜介(→植中朝日)-FW:山田楓喜(→藤尾翔太)、細谷真大、斉藤光毅(→佐藤恵允)。監督は大岩剛。
●細谷の幻のゴールは、本来なら伝説として語り継がれるべきプレイだった。勝敗よりも、伝説が無効になったことが悔しい。本質的にサッカー観戦とは伝説の探求なのだから。