●17日はあずさに乗って松本へ。セイジ・オザワ 松本フェスティバルで、沖澤のどか指揮サイトウ・キネン・オーケストラによるブラームスの交響曲第1番と第2番。本来ならアンドリス・ネルソンスが指揮するはずだったが健康上の理由により降板、代わって沖澤のどかが指揮することに(別プロの第3番と第4番はそれぞれ下野竜也とラデク・バボラークの指揮になった)。ブラームスの交響曲第1番、冒頭の一音から気迫のこもったすごい音が出てきた。代役だということを完全に忘れて聴く一体感あふれるブラームス。造型も音色もこれぞブラームスという音楽。濃密でしなやか。特に第1番は、サイトウ・キネンのブラームスでもあり、おそらく小澤征爾のブラームスでもあって、2月に世を去った総監督への献奏のような趣も強く感じる。
●第2番の自然賛歌的な音楽は夏の松本にぴったりだろう。こちらも慣れ親しんだブラームスの音楽そのものだが、作品の性格もあり前半よりは開放感があって、第4楽章は期待通り壮麗なフィナーレに。コンサートマスターは第1番が豊嶋泰嗣、第2番が矢部達哉。オーケストラのなかでバボラークがホルンを吹くのを聴いたのは久しぶり。やはり異次元。トランペットのタルケヴィと並ぶ元ベルリン・フィル勢。
●今回のセイジ・オザワ松本フェスティバルは、まだ総監督として小澤征爾の名が掲げられている。これまでどんな著名な指揮者が招かれようが、音楽祭の顔は小澤征爾以外にあり得なかったわけだけど、これからはどうなるんだろう。音楽祭の顔が必須というわけでもないので、特定の監督を定めずに、属人性のない「松本の音楽祭」になっていくのか、どうか。
●写真は開演前のキッセイ文化ホール。人が写っていないが、もちろん本当は賑わっていた。Google Pixelの消しゴムマジックで消しているのだ。似た機能は前からPhotoshopにもあったが、これはアプリの自動判別でワンタッチで消している。
August 19, 2024