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August 26, 2024

サントリーホール サマーフェスティバル 2024 フィリップ・マヌリ オーケストラ・ポートレート

●23日はサントリーホール サマーフェスティバル。テーマ作曲家フィリップ・マヌリのオーケストラ・ポートレート。演奏はブラッド・ラブマン指揮東京交響楽団。舞台転換の都合もあってか、2回休憩が入るという構成で、ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、ブーレーズの「ノタシオン」、休憩その1、フランチェスカ・ヴェルネッリの「チューン・アンド・リチューンII」(2019~20)、ドビュッシー~マヌリ編の「夢」(1883/2010~11)、休憩その2、マヌリ「プレザンス」(2023~24、世界初演 サントリーホール委嘱)。マヌリ臨席。もう72歳とは。
●最初のドビュッシーが東響らしくない色彩感を欠いた演奏で謎だったが、最初の休憩後からはぐっと精彩に富んだ響きに。ヴェルネッリは未知の作曲家。「チューン・アンド・リチューンII」は、事前に読んだプログラムノートによれば、微視的な時間と巨視的な時間との連続性みたいなものに焦点を当てているということだったのだが、わかるようなわからないような。パルスの連続と変容。ピアニストが活躍。「夢」はドビュッシーがパリ音楽院在学中に書いた管弦楽組曲第1番の一曲で、失われていた作品が近年発見されたもの。4手連弾版とオーケストラ版があるが、「夢」はオーケストラ版が欠けており、これをマヌリが編曲したのだとか。柔らかく美麗。新たなレパートリーとして定着してもおかしくない。
●二度目の休憩の後はマヌリの新作。オーケストラの各楽器群を指揮者を中心に左右対称にアーチ型に配置する。分厚い響きの雲のなかであちこちで閃光が明滅するかのような印象を受ける。残響の豊かなホール、しかも2階席からの距離で聴くとなれば個々の楽器の音は定位はぼやけ、凝った配置がもたらす効果は控えめかとは思ったが、洗練された音響美を堪能。「パルジファル」的な荘厳さも。曲の後半で左右それぞれのグループからフルートやトランペットら数名が離脱し、ステージから降りて客席両脇に陣取り、最後は退出する。思わせぶりなジェスチャー。