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September 10, 2024

カーチュン・ウォン指揮日本フィルのブルックナー9

●8月に最高気温が39℃まで到達して「ああ、東京の夏が40℃を超えるのは時間の問題だな」と思っていたが、さすがに9月も中旬に入ろうとする今週、日々の最高気温は34℃前後である。これでだいぶ暑さが和らいできたと感じてしまうのだから、どうかしている。先の天気予報を眺めると9月20日頃から最高気温が30℃を下回るようだ。夏が長くなったのか、あるいはこれが新しい秋なのか。
カーチュン・ウォン 日本フィル
●で、6日はサントリーホールでカーチュン・ウォン指揮日本フィル。曲はブルックナーの交響曲第9番のみ。ブルックナー生誕200年、しかも9月4日が作曲者の誕生日とあって、ブルックナーラッシュが続いている。でも第4楽章付きではないのに、交響曲第9番のみのプログラムは珍しい。ゲストコンサートマスターにマンチェスターのハレ管弦楽団のロベルト・ルイジ。カーチュンは今秋からハレ管弦楽団の首席指揮者に就任している。
●前夜のサントリーホールでマクシム・エメリャニチェフ指揮読響が後列にコントラバス4台を横一列に並べていて、東京のオーケストラでこの配置は珍しいなと思っていたら、なんと、この日はコントラバス10台が横一列に並んでいた。なかなか目にすることのない壮観。オーケストラの音も重厚で、ふだんの日フィルとはだいぶ違ったイメージに。カーチュンは第1楽章をかなり遅いテンポで開始。最近、どちらかというとシャープなスマート・ブルックナーを聴くことが多かったので、これだけ重々しく荘厳なブルックナーを聴くのは久々。筆圧が強く、カーチュンのジェスチャー同様、くっきりとして曖昧なところのない剛のブルックナー。強靭ではあるが、音圧頼みではまったくない。第2楽章のスケルツォ主題、カーチュンの指揮がボウイングを明確に視覚化していたのがおもしろかった。第2楽章が終わったところで指揮棒を止めて、たっぷり間をとった。チューニングを入れて、第3楽章へ。陶然としたアダージョの後、長い沈黙。盛大な喝采が続き、楽員退出後も拍手が止まず、カーチュンとコンサートマスターのふたりが登場してカーテンコール。