●さて、ここのところ踏んだり蹴ったりのマリノスだが、昨日のACLエリート(アジア・チャンピオンズリーグ・エリート)では韓国の蔚山(ウルサン)相手に久々に快勝した。ホームで4対0である。いやー、なにせ前の試合では7失点を喫したのだから、少しは借りを返せたかな……と思って、前節アウェイでの結果を確認したらこうだった。
光州 7-3 横浜FM
●えっ。相手が違うじゃん。韓国の光州だよ! 前の試合で4点差が付いたから、昨日の試合で4点差を埋めたと思ったら、対戦相手が違うじゃん! オマイガッ!! そんなふうに頭を抱えたぼんやりしたファンはワタシだけではなかったはず。そうなのだ、今年から対戦方式がいわゆる「スイス方式」なるものに変わったので、ホームアンドアウェイでは戦わないのだ。
●どういうことか。今季からACLはアジアの強豪24チームが戦うACLエリート(マリノス、神戸、川崎が参加)と、その下のACL2(広島が参加)の2カテゴリーに分かれた。で、ACLエリートは従来のグループステージを止めて、東西12チームずつが各グループでホーム4試合、アウェイ4試合のリーグステージを戦う。12チームいるのに、計8試合しかないのだから、これは総当たりではない。しかもホーム4試合とアウェイ4試合はそれぞれ異なるチームと対戦する。これがスイス方式、らしい。
●マリノスの場合であれば、すでにアウェイで対戦した光州とホームで戦うことはないし、ホームで対戦した蔚山とアウェイで対戦することもない。リベンジの機会はないのだ。マリノスはホームで蔚山、ブリーラム・ユナイテッド(タイ)、浦項スティーラース、上海申花と戦い、アウェイで上海海港、セントラル・コースト・マリナーズ(豪)、山東泰山、光州と戦う。12チームいて、8チームと戦うわけだから、残りの3チームとは対戦がない。ちなみに対戦しない3チームは、川崎、神戸、ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)。川崎および神戸との対戦がないのは同じJリーグ勢だからわからなくもないが、奇妙なことにジョホール・ダルル・タクジムはJリーグ勢との試合が1試合もない。
●当然、公平性はない。強豪相手にはアウェイで戦うよりホームで戦うほうが有利だし、戦わずに済めばもっと有利だ。同じ相手とホームとアウェイのどちらかしか対戦できないのも、フットボール的な原則から外れている気がする。ただ、この奇妙な方式はアジアだけでなくヨーロッパ・チャンピオンズリーグも採用している。うーん、どうなんでしょね、これって。
●で、ACLエリートでは、このスイス方式で12チームから8チームが決勝トーナメントに勝ち抜ける。えっ、4チームを落とすためだけにリーグステージが存在するわけ? それもどうかと思うが、ラウンド16は東地区でホームアンドアウェイを戦い、その先の準々決勝からは東西混合で1試合のみのシングルマッチをサウジアラビアで集中開催する。なんというか、巨額マネーでスーパースターを買い漁るサウジ勢と完全アウェイで戦うことになるわけで、東地区のチームが準々決勝以降を勝ち進むのはかなりの困難。しかも外国籍選手枠が撤廃されたので、中東の巨額マネーがそのまま戦力に反映される。アジアと言いつつ、中東以外は蚊帳の外みたいな感じにならなければいいのだが。