●W杯アジア最終予選、好調のニッポンは鬼門とも言えるアウェイのサウジアラビア戦へ。アウェイの試合はテレビ中継がなくなってしまい、DAZNの配信のみが頼りに。朝に時差観戦する。アウェイのサウジアラビア戦は過去3大会で全敗。前回大会での対戦では、サウジは従来の堅守速攻のチームからすっかりモダンなスタイルに進化し、自分たちでゲームを作っていた。現在の監督はあのマンチーニ。ニッポンはこれまでの試合と違って一方的に攻撃するというわけにはいかない。防戦一方になることもあり得る。
●という状況だったので、森保監督はこれまでのアタッカーだらけの超攻撃的3-4-3(3-2-4-1)を修正してくるのかどうかが注目点。が、この試合でも超攻撃的布陣を貫いたんである。メンバーはGK:鈴木彩艶-DF:板倉、谷口、町田-MF:遠藤、守田-堂安(→久保)、南野(→伊東)、鎌田(→前田)、三笘(→中村敬斗)-FW:上田(→小川航基)。つまりウイングバックの左に三笘、右に堂安がいて、中に鎌田と南野、トップに上田がいる豪華布陣(=サイドバック調の選手がゼロ)。でもこれだけ両ウイングバックが攻撃的だと、守備に回ったときに厳しいのでは?という大きな疑問があったわけで、左右どちらかをサイドバック調の守れる選手(たとえば菅原由勢)にするのではないかと予想もあったが、森保監督はとことん強気だった。前半14分、右から堂安がクロスを入れると、ファーで三笘が折り返し、それをさらに守田が折り返して、中央でフリーの鎌田が悠々とゴールを決めて先制。左右に大きく揺さぶって相手を崩した。この後は、もっぱら守る形に。サウジは前半から彼らの左サイド、つまりニッポンの堂安の背後を狙ってきたため、途中から堂安が右サイドバックみたいな4バック調になってしまった。前半は五分の展開。
●後半の頭から、森保監督は前半にイエローをもらった南野を下げて、伊東を投入。その際、伊東をウイングバックのポジションに入れ、代わりに前半で守備に奔走した堂安を前に出す形に。ニッポンが耐える展開が続いたが、守田や遠藤のクレバーな守備、前線での上田の体を張ったがんばり、センターバック陣の集中力の高さもあり、サウジアラビアの決定機は少なめ。守りに回ったときに、チーム全体の成熟度が高い。伊東も攻守で貢献。後半36分、ニッポンはコーナーキックから途中交代の小川が頭でズドンと決めて、2点目。終盤はサウジのエネルギーが尽きた。サウジアラビア 0対2 ニッポン。
●サウジ相手にアウェイでの完勝は立派。まちがいなく史上最強の代表だと思う。この試合、韓国の主審がコンタクトプレイに対してなかなか笛を吹かなかったのだが、一貫性があってとてもよかった。アウェイでよく問題になったのは「中東の笛」。少し体が触れただけでも相手が倒れるとファウルになったり、意味不明のカードやPKに悩まされたりといったことがあったが、この主審はアウェイのプレッシャーに屈せずに欧州リーグ並みの基準で笛を吹いた。かといって、試合が荒れることもなし。おかげで両方のチームが相手の精力的なプレスに対抗しながら高い技術でボールをつなごうとする、タイトでハイレベルな試合になった。ニッポンにとってもサウジにとってもこれはよいこと。
October 11, 2024