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October 17, 2024

レオニダス・カヴァコス バッハ・プロジェクトII 協奏曲の夜

●15日は東京オペラシティでレオニダス・カヴァコスの「バッハ・プロジェクトII 協奏曲の夜」。カヴァコスとアポロン・アンサンブルによるバッハのヴァイオリン協奏曲集。カヴァコスが結成したアポロン・アンサンブルは、メンバー全員がギリシャ出身の奏者たちからなり、ノエ・イヌイのヴァイオリン、イアソン・マルマラスのチェンバロ他。各パート1名の編成。プログラムはヴァイオリン協奏曲第1番イ短調、第2番ホ長調、ト短調BWV1056R(チェンバロ協奏曲第5番からの復元)、ニ短調BWV1052R(チェンバロ協奏曲第1番からの復元)という4曲。
●だいぶ貫禄が出てきたカヴァコス。演目は最新アルバムとまったく同じで、すっかり手の内に入っている様子。全体としてはハイテンションで情熱がほとばしるパワフルなバッハ。アレグロ楽章は筆圧が強く、アクセント強めで勢いがあり、輝かしい。一方、緩徐楽章はゆっくりとしたテンポでしばしば瞑想的で、粘度高めのスケールの大きな表現。迫力がある。曲に先立ってチェンバロによる即興風の前奏を入れたりするのだが、HIPというよりは今風の印象が強いかな。
●BWV1056RとBWV1052Rの2曲の復元曲を聴けたのがうれしい。とくにチェンバロ協奏曲第1番から復元したBWV1052R。バッハのチェンバロ1台用の協奏曲がいずれも他の楽器からの編曲であることは一応承知しているけど、チェンバロ協奏曲第1番はあまりにソロの名技性と結びついていて、これが本来ヴァイオリン協奏曲だと言われても、なかなか感覚的には受け入れづらい。舞台上にチェンバロがいるのに、チェンバロパートをヴァイオリンが弾いているという不思議感。これが本来の形とすれば(そうなのだろうが)、バッハはずいぶんとソリスティックなヴァイオリン協奏曲を書いたものだと思う。
●アンコールは管弦楽組曲第3番のアリア(いわゆるG線上のアリア)。こちらもアルバム収録曲。本編が前半3曲と後半1曲という構成だったので、後半がやたら短いプログラムだと思ったものの、終わってみればちょうど21時。短くはなかった。CDの会場販売とサイン会あり。音楽はストリーミングでも聴けるが、デジタルデータではサインをもらえない。無敵のフィジカル。