●3日は千葉に遠征してフクアリことフクダ電子アリーナでジェフユナイテッド千葉 vs V・ファーレン長崎。J2の大一番で、なんと、指定席のチケットが完売しており(!)、コーナーフラッグ付近の自由席しか買えなかった。千葉はこれがホーム最終戦。ともにJ1昇格プレイオフ圏内におり、長崎は数字上、自動昇格の可能性も残している。だから注目度が高いのは納得だが、それにしてもJ2の試合でここまで盛況とは。スタンドの大半は千葉のイエローに染まったが、長崎側のゴール裏にも熱いサポーターたちが詰めかけていた。ちなみにV・ファーレン長崎は「ヴィ・ファーレン長崎」と読む。ウ濁大好きなクラヲタにはグッとくるネーミングだ。
●フクアリは蘇我駅から徒歩数分。ここはこけら落としのマリノス戦に足を運んで以来、何度か来ているが、首都圏で唯一といってもよい完璧なスタジアム。球技専用でピッチが近く、傾斜があるのでとても見やすく、屋根がしっかり全体を覆っている。機能的で美しく、駅からのアクセスもよい。Jリーグのスタジアム事情に関して首都圏は圧倒的に後れを取っているが、ここだけは満足できる。少々遠いけど。
●千葉を率いるのは小林慶行監督。かつてのヴェルディの名選手だ。監督歴は2023年からで、千葉が初めてのチーム。一方、長崎は百戦錬磨の下平隆宏監督。柏、横浜FC、大分を率いてきた。両チームの戦い方は似ていて、どちらもバックラインからボールをつないでビルドアップする攻撃的なサッカー。2部リーグとは思えないつなぐサッカーで、見ていておもしろい。千葉は精力的に前線からプレスをかけるが、長崎も足元がしっかりしていて、簡単には奪われない。サイドの攻防も見ごたえあり。開始早々に長崎がやや幸運なPKで先制したが、千葉がセットプレイからエドゥアルドの頭で同点。終盤、長崎は途中出場のエジガルジュニオ(かつてマリノスで活躍)がクロスに足で合わせたボールがジェフの選手にリフレクトして、ほぼオウンゴールのような形に。これが決勝点。千葉 1対2 長崎。試合内容は五分五分だったが、ここぞという場面で運が長崎に味方した。ジェフは後半にPKをもらって逆転するチャンスがあったのだが、小森飛絢のキックを長崎のキーパー、若原智哉ががっしりキャッチ。弾くのではなく、PKをキャッチする場面はなかなか見ない。スーパーセーブだった。
●試合終了後、アウェイ側ゴール裏は大盛り上がり。残り1試合で横浜FCを逆転して自動昇格する可能性が出てきた。エジガルジュニオのリードでみんなで歌ったチャントは、いわゆる「ヴォラーレ」。ジプシー・キングスのカバーが有名でキリンビールなどよくCMで使われるようだが、原曲はドメニコ・モドゥーニョの Nel blu, dipinto di blu。だいぶジプシー・キングスとは雰囲気が違って、少し気だるいというか、やるせなさが漂っている。フットボールの世界にふさわしいのはこちらか。
●とはいえ、この曲、あらゆるジャンルの歌手が歌っているわけで、ここではパヴァロッティの録音も貼っておきたい。ぜんぜんパヴァロッティに合ってない曲だし、アレンジもどうかと思うが、でもやっぱりパヴァロッティの声だから。