●10日はNHKホールで山田和樹指揮N響。前半にルーセルのバレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」組曲第1番、バルトークのピアノ協奏曲第3番(フランチェスコ・ピエモンテージ)、後半にラヴェルの「優雅で感傷的なワルツ」、ドビュッシーの管弦楽のための「映像」より「イベリア」。協奏曲を別とすれば、舞踊的要素満載のフランス音楽プログラム。一曲目のルーセル、冒頭から覇気がみなぎっている。音楽が生きているというか。この曲、以前に山田和樹指揮日フィルで第1番と第2番を聴いているし、スイス・ロマンド管弦楽団を振った録音もあって十八番なのか。しかし組曲第1番だけというのは珍しい。
●バルトークではフランチェスコ・ピエモンテージがすばらしい。バルトークの音楽が怜悧でモダンであるばかりでなく、情感豊かで歌心にあふれた音楽でもあることを伝えてくれる。オーケストラも雄弁。ソリストアンコールにシューベルトの即興曲変ト長調作品90-3。しみじみ。
●ラヴェルの「優雅で感傷的なワルツ」を聴いて、「ラ・ヴァルス」とどっちが先なんだ問題に思い当たる人は多いと思う。曲調から察せられるように、「優雅」が先で「ラ・ヴァルス」が後。両曲はどちらもウィーンのワルツに触発されているが着想源が違っていて、「優雅で感傷的なワルツ」はシューベルトのワルツ、「ラ・ヴァルス」はヨハン・シュトラウス2世のようなウィンナワルツ。なのだが、両曲、部分的にすごく似てるじゃないっすか。だから、自分の勝手な解釈としては、これらは一連のワルツシリーズで、ヒーロー戦隊ものにたとえると「優雅」全8曲がレギュラー回の第1回から第8回で、「ラ・ヴァルス」がラスボス戦を描く最終回拡大版スペシャル。だから「ラ・ヴァルス」にはカタストロフがあるけど、「優雅」にはない。
●おしまいの「イベリア」も精彩に富みカラフル。N響の柔軟性と積極性を感じる。定期二日目ということで、カーテンコールの際に花束贈呈があった。男性楽員が渡していて、よいなと思った。
November 12, 2024