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November 18, 2024

アンドレス・オロスコ・エストラーダ指揮NHK交響楽団のショスタコーヴィチ他

アンドレス・オロスコ・エストラーダ NHK交響楽団●15日はNHKホールでアンドレス・オロスコ・エストラーダ指揮N響。ワーグナーの「タンホイザー」序曲、ヴァインベルクのトランペット協奏曲(ラインホルト・フリードリヒ)、ショスタコーヴィチの交響曲第5番というプログラム。一曲目のワーグナーが少し意外な選曲。ヴァインベルクのトランペット協奏曲ではラインホルト・フリードリヒが無双状態。吹いていないときは指揮をするように軽く手を動かしリズムをとるなど、余裕の吹きっぷり。この曲、初めて聴いたけど、他のヴァインベルク作品を聴いたときと同様、ショスタコーヴィチとの共通性を強く感じる。ついジェネリック・ショスタコーヴィチのように感じてしまいがち。ヴァインベルクがショスタコーヴィチから影響を受けたように、ショスタコーヴィチもまたヴァインベルクから影響を受けているというのだが……。終楽章のファンファーレでメンデルスゾーンの「結婚行進曲」やビゼーの「カルメン」などが引用されて楽しい曲ではある。ソリストのポジティブなパーソナリティも大いに貢献していたのでは。アンコールにソリスト編曲の「さくらさくら」。サービス満点。
●後半のショスタコーヴィチの交響曲第5番がとてもいい。速めのテンポを基調として、音楽に躍動感があり停滞しない。思わせぶりなところがないのが吉。第1楽章のおしまい部分、リズミカルに脈打っていて、舞踊性すら感じる。第3楽章のラルゴ、これを遅くて粘る音楽、深い祈りの音楽として立派な名演を聴かせる人も少なくないけど、オロスコ・エストラーダはぜんぜん違っていて、颯爽として強靭。終楽章、冒頭こそ予想外に遅いテンポ設定だったが、すぐにスピード感を取り戻して、ひりひりするような緊迫感のあるフィナーレに。終結部も間延びせず。弦楽器の全力強奏が輝かしい。
●だいぶ好みのわかれるショスタコーヴィチだとは思ったが、拍手がいったん止みかけた後、熱心なお客さんたちが続けてくれて、次第にまた拍手が高まりオロスコ・エストラーダのソロ・カーテンコールになった。オロスコ・エストラーダ、コロンビア出身ではあるけどウィーンで勉強して、たくさんウィーンで活躍している。いずれニューイヤー・コンサートに呼ばれるかも?