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December 18, 2024

フランチェスコ・アンジェリコ指揮読響の「第九」

●先週、ANAの機内オーディオプログラム「旅するクラシック」(←飛行機に乗ったら聴いてね♪)の収録の際、別れ際にパーソナリティの松尾依里佳さんとスタジオのみなさんに「よいお年を」の挨拶をしたのが、今年の「よいお年を」第1号だった。例年、「よいお年を」第1号がやってくると、次に来るのが「第九」シーズン。17日はその第1弾として、サントリーホールで読響のSHINRYO presents 「第九」特別演奏会。指揮はフランチェスコ・アンジェリコ。
●ベートーヴェン「第九」に先だって、第1部は大木麻理によるオルガン独奏。イギリスのオルガン奏者ジョナサン・スコットの「クリスマス・セレブレーション」、バッハの「古き年は過ぎ去りぬ」BWV1091、ヴィドールのオルガン交響曲第5番からトッカータの3曲が演奏された。ヴィドールのトッカータがすこぶる壮麗で圧倒される。久々にサントリーホールのオルガンをソロで聴いたかも。
●指揮のフランチェスコ・アンジェリコは初めて聴く人。イタリア出身の中堅で、カッセル歌劇場の音楽総監督を務めるなど、オペラでの経験が豊富な模様。オペラ指揮者の「第九」という先入観ばかりではないと思うが、劇場的というか、闊達な「第九」。第1楽章、終結部で一段テンポを落として念入りにドラマを築く。第3楽章は天上の音楽というよりは人間臭いカンタービレの音楽。終楽章は大らかな一気呵成のクライマックス。独唱陣は中村恵理のソプラノ、清水華澄のメゾ・ソプラノ、ダヴィデ・ジュスティのテノール、エギルス・シリンスのバス。エギルス・シリンスは声量豊かに朗々と歌い上げてホールの空気を一変させた。合唱は新国立劇場合唱団。60名程度の規模。曲が終わると客席から盛大なブラボー。日テレのテレビ収録あり。
●年末の「第九」でも珍しい光景だが、第1楽章の終わりと第2楽章の終わりに拍手が入った。新規のお客さんが来てくれた証拠で、これはありがたいこと。自分も最初に買ったチケットの演奏会は「第九」だったことを思い出す。新しく来てくれた人がまた足を運んでくれますように。