●20日は東京オペラシティでケンショウ・ワタナベ指揮東京フィルのベートーヴェン「第九」。ソプラノに吉田珠代、アルトに花房英里子(中島郁子から変更)、テノールに清水徹太郎、バリトンに上江隼人。合唱は新国立劇場合唱団。最近、「第九」公演は「第九」一曲のみのオーケストラが多いが、東フィルは最初に短い曲を演奏してから休憩に入る方式。まずはベートーヴェンの「フィデリオ」序曲。すごく短い曲なので、終わったところで「15分の休憩に入ります」のアナウンスに軽く客席がどよめいた。しかし、ワタシは以前に遅刻してこの休憩に救われた経験があるので、この方式にも長所があることはたしか。
●ケンショウ・ワタナベはアメリカの指揮者。今シーズン、メトロポリタン・オペラで「ラ・ボエーム」、昨シーズンはケヴィン・プッツ「めぐりあう時間たち」を指揮、フィラデルフィア管弦楽団とたびたび共演するなど、アメリカで実績豊富だが、その割に日本で聴く機会は少ない。長身痩躯で、後ろ姿も棒の振り方も川瀬賢太郎激似。心持ち速めのテンポで始まり、明快でまっすぐな「第九」。奇をてらわず、晴れやかなフィナーレに向かってさらさらと進む。この日の「第九」も終わると盛大な喝采に。
●やはり年末「第九」は客席の雰囲気が定期公演とは違って、新鮮な気持ちで聴いているお客さんが多い様子が伝わってくる。初心に帰る、みたいな気分になる。
●そういえば、この日の新国立劇場合唱団の合唱指揮は三澤洋史さんだった。今年は読響、N響、東フィルの「第九」を聴いて、いずれも新国立劇場合唱団だったが指揮者が違う。水戸博之指揮のチーム、冨平恭平指揮のチーム、三澤洋史指揮のチームということで、㌠の「第九」を聴いたことになる(←前から使ってみたかった、㌠)。
December 23, 2024