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January 21, 2025

東京都現代美術館「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」「MOTコレクション」

東京都現代美術館「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」 臼井良平
●取材と取材の間に空き時間ができたので、ささっと東京都現代美術館へ。今、「坂本龍一 音を視る 時を聴く」が開催中だが(大盛況、びっくりするほど若者たちが多い)、今回の目当ては「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」と「MOTコレクション」展。「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」でとりあげられたのは清水裕貴、川田知志、臼井良平、庄司朝美の4名。どれも刺激的だったが、いちばんおもしろかったのは臼井良平の作品。たとえば、上のブルーシート。なにかの資材置場とか作業中の現場とかにありそうな光景だが、中央にポツンと飲みかけのペットボトルが置いてある。
東京都現代美術館「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」臼井良平
●これはガラスで再現したペットボトルらしいんだけど、よくできているなあと思うと同時に、これが仮に本物の飲みかけのペットボトルだったとしても、これはアート足りうるものかという問いが生まれる。

東京都現代美術館「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」臼井良平

東京都現代美術館「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」臼井良平
●これも秀逸。スチールラックの上に無造作に置かれた精巧に作られたつぶれたペットボトル中身入り。こんなふうにペットボトルを捨てていくのはどんなヤツなんだ。それとも捨てたんじゃなくて、また飲みに来るのか。と、ストーリーを思い描くのだが、それにしてもこの作品には人間の気配が感じられない。

東京都現代美術館「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」臼井良平

東京都現代美術館「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」臼井良平

●これはフェンス。遠目にはただのフェンスだが、近くに寄ると網目にペットボトルが突っ込んである。これもガラスを用いて水の感じを作り出している模様。こういう捨て方をする人はたしかにいそう。

東京都現代美術館「MOTアニュアル2024 こうふくのしま」臼井良平
●で、フェンスの下部をよく見てみると、これが落ちてたんすよ! 食パンの袋の口を留めるヤツ。これは作品の一部なのか、だれかが置いていったのか。いや、美術館の展示室でわざわざ食パンを開ける人はいないか。でも、たまたまポケットに入ってたとか? いやいやいやいや。

MOTコレクション 間所(芥川)紗織
●「MOTコレクション」展は会期ごとに大きく内容が変わる。今回も大充実。これだけのために来ても余裕で楽しめる。上は東京国立近代美術館でもミニ特集されていた生誕100年の間所(芥川)紗織(芥川也寸志の最初の妻)の作品。ほかに前本彰子、オラファー・エリアソン、イケムラレイコ、マーク・マンダースなど。