●23日はサントリーホールで「阪田知樹 リスト~ピアノ協奏曲の夕べ」。阪田知樹が角田鋼亮指揮東京フィルとともにリストの協奏的作品4曲を一挙に演奏するという貴重な機会。前半がピアノ協奏曲第2番と「死の舞踏」(「怒りの日」によるピアノと管弦楽のためのパラフレーズ)、後半がピアノ協奏曲第1番とハンガリー幻想曲。こんなプログラムが成立するとは。客席もしっかり。
●阪田知樹のソロは圧倒的。恐るべき技巧で、切れ味も鋭く、なおかつ重さもある。洗練されたタッチは華麗。打鍵も強靭でオーケストラに埋もれる心配がなく、表現に幅ができる。シリアスな部分とウィットを感じさせる部分の対比も吉。ヴィルトゥオジティで魅せるだけではなく、リストの作品そのものの味わいを堪能させてくれる。華やかさ以上のダークなロマンティシズム。
●ピアノ協奏曲第1番はハンスリックにトライアングル協奏曲と揶揄されたエピソードが有名だけど、この曲に限らずリストはトライアングルとシンバルの鳴り物好きなんだなと実感。そういえば、ハンスリックは今年生誕200年なのだ。「ハンスリックに酷評された名曲集」みたいな演奏会はどうか。
●おしまいの「ハンガリー幻想曲」は爆発的な盛り上がりで、客席は大喝采。すぐに立ち上がって拍手をするお客さんも多くて、オーケストラの定期公演とは少し違った雰囲気の熱量。アンコールはソロでラフマニノフ~阪田知樹編「ここは素晴らしいところ」、ガーシュウィン「レディ・ビー・グッド」。
January 24, 2025