●先週、午後にサントリーホールの新春懇親会に出席し、夜のミューザ川崎での演奏会までに少し時間が空いていたので、ささっと新宿に移動してSOMPO美術館に寄った。今、「絵画のゆくえ 2025」という同美術館の公募コンクール受賞者たちの近作を集めた展覧会が開催されていて(~2/11)、規模が小さめだろうから短い空き時間にちょうどよいかなと。
●で、その中から印象に残ったものを3つ挙げたいのだが、ひとつは上の「狭間の連続」(かわかみはるか/2024)。想像力を刺激される作品で、人はいっぱいいるけど人格があるのかないのかわからないような右側の電車内の歪んだ空間と、左手前の優先席に座る女性との対比が興味深い。日本画材、パステルに加えて珈琲が使われているのだとか。
●これは「hemi hemi・Typin' #2」(吉田桃子/2023)。ポリエステルにアクリル絵の具を使って描かれており、独特の透明感がある。なんとなく動画の一コマっぽいような錯覚を覚える。
●で、びっくりしたのがこちら。「Teachers' Room」(佐々木綾子/2021)。学校の職員室がとても細かなところまでペンで描かれていて、絵を見ると同時に、ついつい絵の中の文字を読んでしまう。学級日誌があったり健康観察シートがあったり学習の手引きがあったりするわけだが、右端を見て「あっ!」と声が出そうになった。該当する部分をアップにしたのがこちら。
●ほら、見て。「新編音楽中辞典」(音楽之友社)が隣の先生の机に置いてある! これはかつて会社員時代に自分が編集部員のひとりとして携わった音楽辞典で、現在も毎日のように使っている。「インターネットがあるのに、今どきそんなの要るの?」と思う人もいるかもしれないが、考え方が逆で、ネット上の情報に影響されておらず、なおかつコンパクトにまとまった典拠というものがたびたび必要になるのだ。各項目の執筆者の選定もかなりよいと思っている。この一冊を選んで職員室の机に置いている先生、お目が高い!