●31日はサントリーホールでトゥガン・ソヒエフ指揮N響。金曜日のB定期という新しいパターンなので、まちがえてNHKホールに行かないように心のメモ帳に「サントリーホール」と大書して向かう。プログラムはムソルグスキー(リャードフ編)のオペラ「ソロチンツィの市」から「序曲」「ゴパック」、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番(郷古廉)、ドヴォルザークの交響曲第8番という東欧プロ。ソヒエフのドヴォルザーク8番、一昨年にウィーン・フィルでも聴いたけど、あのときはウェルザー゠メストの代役だったわけで、偶然重なってしまったわけだ(先にN響の曲目は決まっていた)。重なったといっても一昨年の公演なわけで、とくに気にはならない。
●N響のコンサートマスターは4月から第1コンサートマスターに就任する長原幸太。読響からN響へというキャリアは、今月末をもって特別コンサートマスターを退任する篠崎史紀と同じ。これでN響のコンサートマスター体制は、ともに第1コンサートマスターの長原幸太、郷古廉、ゲストコンサートマスターの川崎洋介の3人になる模様。
●で、この日のバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番では、もうひとりの第1コンサートマスターである郷古廉がソリストを務めた。これが凄演。名曲とされている割にはライブで聴く機会があまりない曲だが、強烈な演奏を聴くことができた。鋭く強靭ながらも、詩情も十分。以前から思ってるけど、ソリストとしてこれだけできる人が、オーケストラのコンサートマスターに就いているとは。この曲、第1楽章の四分音で船酔い気分になれるのが楽しい。ソリストアンコールとして、新コンサートマスターを一言紹介してから、長原幸太とふたりでバルトークのヴァイオリン二重奏曲から。後半のドヴォルザークの交響曲第8番は胸のすく快演。とくに弦楽器の緻密さと豊麗さは驚異的で、作品の印象が変わるほど。このコンビではもっとも楽しめた公演。
●やや終演が遅かったせいか、拍手がすぐに終わりかけたが、粘り強い拍手のおかげでソヒエフのソロカーテンコールに。
February 3, 2025