●12日はサントリーホールでサカリ・オラモ指揮ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団。当初は前回の来日同様、フランソワ=グザヴィエ・ロトの指揮で来日が予定されていたが、ロトがセクハラ疑惑報道以降活動を休止したため指揮者が交代になった。オラモはオーケストラのアーティスティック・パートナーという立場。
●ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団、ケルンのオーケストラといっても放送交響楽団のほうではなく、ふだんは歌劇場のオーケストラとしてピットに入りつつ、コンサートもけっこうな回数を開いている模様。前回の来日では思った以上にすばらしいオーケストラで感心した記憶。もっとも前回はロトによるブルックナー「ロマンティック」第1稿というやや特殊なプログラムだったのに対して、今回は王道の名曲プロ。ウェーバーの「オベロン」序曲、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番(諏訪内晶子)、ベートーヴェンの交響曲第7番。そんなこともあってか、前回のようなひりひりした緊張感よりは確信を持った音楽作りといった趣。
●ブルッフは高揚感にあふれた好演。諏訪内晶子のつややかで芯のしっかりした美音がすばらしい。ソリスト・アンコールにバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番よりラルゴ。ベートーヴェンの交響曲第7番、第1楽章提示部はリピートあり。第2楽章がまさにアレグレットというテンポ感で、この曲には緩徐楽章がないことを改めて実感。第3楽章、おしまいのプレストの前で思い切り溜める。終楽章の途中でぐっとギアが入って最後は熱風のような演奏に。客席は沸いた。アンコールにベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲。これは少し意外な選択。
February 13, 2025