●13日は東京オペラシティでサカリ・オラモ指揮ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団。前日とは会場を変えて、同じオーケストラの別プログラム。モーツァルトのピアノ協奏曲第23番(藤田真央)とマーラーの交響曲第5番という大盛プログラム。当初はロトが指揮する予定で、前半がシェーンベルクの5つの管弦楽曲だったのだが、指揮者変更により前半のプログラムが変わり、藤田真央が登場、モーツァルトを弾いてくれることに。ありがたし。客席は大盛況で、マーラーメインのプログラムにしては異例の女性率の高さ。
●前半、藤田真央のモーツァルトは陰影豊かで流麗繊細。天衣無縫のモーツァルトではあるが、予想していたよりも彫りの深い表現。情感豊かであってもロマンに傾かない。弱音表現に意を注いだ演奏だったが、オラモとオーケストラは我が道を行くという感じでややマッチョ。ソリストアンコールにフランク~バウアー編の「前奏曲、フーガと変奏曲」から前奏曲。滋味。
●後半のマーラーの交響曲第5番は、なんとこのオーケストラが初演したゆかりの曲。そんな勝負曲を持っていることがうらやましい……。演奏は、おそらくオラモのテイストだと思うが、重くて熱い。筆圧が強く、一歩一歩踏みしめるように大作を紡ぐといった様子で、祝祭感や壮麗さを前面に出すのではなく、作品の威容をストレートにあらわす。アンコールまであって、シューベルトの「ロザムンデ」間奏曲。これは練り上げられた優しいシューベルト。
February 14, 2025