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February 19, 2025

東京オペラシティ B→C バッハからコンテンポラリーへ 269 岡本拓也(ギター)

●18日は東京オペラシティのリサイタルホールで、B→C バッハからコンテンポラリーへ 269 岡本拓也(ギター)。プログラムは前半がバッハの「前奏曲、フーガとアレグロ」BWV998、ベント・セアンセンの「メランコリー・ダンス」(1996~2008)、バッハの組曲ホ長調BWV1006a、後半がファウスト・ロミテッリ「トラッシュTVトランス」(2002)、アーサー・カンペーラ「パーカッション・スタディⅡ」(1991~92)、西村朗のギターのための「パドマ」(2019)。バッハとモダンが絶妙のバランスで組み合わされた多彩なプログラム。バッハは楽器を肩にかけて立奏。最初の一曲から音色表現が豊かで、ニュアンスに富んだバッハ。デンマークの作曲家ベント・セアンセンの「メランコリー・ダンス」はまったく未知の作品だったが、全6曲からなる小舞曲集なのでとっつきやすい。各曲にはワルツやシチリアーノ、マズルカといった伝統的な舞曲の名が冠されており、舞曲性を失うことなく簡潔化断片化したミクロコスモス。小声でハミングをしながら弾くマズルカとか、奏法も多様。一貫した淡いポエジーが感じられる。
●イタリアのスペクトル楽派の作曲家ファウスト・ロミテッリの「トラッシュTVトランス」も初めて聴く曲。なんと、こちらはエレキギターのための作品だ。エフェクト満載で、次々とイベントが起こる奏者が忙しそうな曲。おもちゃ箱をひっくり返したようなタイプの曲で、トラッシュ感もトランス感もあって楽しいけど、TVってのは? ブラジル/アメリカのアーサー・カンペーラ「パーカッション・スタディⅡ」は曲名通り打楽器的な奏法に焦点が当てられ、スプーンが活躍。場内スプーンに微笑。西村朗作品の曲名にある「パドマ」とは、仏教で魂を救済する聖なる紅蓮華。エキゾティシズムとノスタルジーの混淆。充実。アンコールに2曲。シュテルツェル(バッハ)の「あなたがそばにいてくださるならば」BWV508、「マタイ受難曲」より「おお、血と涙にまみれた御頭よ」。沁みる。奏者あいさつで「クリスマスも正月も返上して練習に明け暮れた」とあったが、こういった渾身のプログラムを聴けるのがB→Cの大きな魅力。

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