●なんのきっかけで手にしたのかは忘れたけど、これほど頷きまくった仕事本はない。「世界一流エンジニアの思考法」(牛尾剛著/文藝春秋)の著者は米マイクロソフトのソフトウェアエンジニア。だがエンジニアに限ることなく、働く人々にとって有用な一冊だと思った。みんなが気持ちよく働くにはどうしたらよいか、という点で納得のゆくことばかり。
●とくに自分にとって響いたのは、生産性を加速するうえで重要なマインドセットとして「リスクやまちがいを快く受け入れる」というくだり。Fail Fast(早く失敗する)っていう標語がすごい。つまり、成功しようがしまいが、まずはやってみて、早くフィードバックを得て、早くまちがいを修正しようという精神。
アメリカでは、失敗や間違いで怒られることが皆無だ。失敗に気づいた後に、本社に報告すると、「フィードバックをありがとう!」と大変感謝される。(中略)
誰かが失敗したところで「あいつはダメだ」とネガティブに言っている人は見たことがない。だから、より難しいことへのチャレンジがすごく気楽にできるのだ。社内のイベントのハッカソンでもその主導者が「今日はたくさん失敗しよう!」と掛け声をかけていたのが印象的だった。
失敗しないことに最大の価値を置くと、なにもしない人が王者になってしまうんすよね。
●あと、会議。日本だと会議にしっかり準備してくるとたいてい褒められると思うんだけど、「準備」も「持ち帰り」も止めて、その場で解決するという流儀。
インターナショナルチームを観察していると、彼らは常に「会議の場」だけで完結する。ざっくりしたアジェンダ(検討事項)はあるが、準備に時間をかけて会議に臨むことは一切しない。(中略)会議後の「宿題」や「持ち帰って検討すること」もめったにない。必要な「意思決定」は、極力その場で行う。
自分は「準備」にはあまり抵抗はないんだけど、「持ち帰り」はかなり抵抗がある。いちばん困るのは結論が先に決まっていて、責任を参加者全員に分散するためだけの会議。
●うらやましいなと思うのは、部下が「仕事を楽しんでいるか?」を確認する文化。メンバーが幸せに働けるようにするのがマネージャの役割だって言うんすよね。「チーム内ではスキルや経験に関係なく、全員が同じ責任を持っているフラットな『仲間』としてふるまう」っていうカルチャーもいいなと思った。