●12日はサントリーホールでセバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のベルク「ヴォツェック」演奏会形式。チケットは完売。ヴォツェックにサイモン・キーンリーサイド、マリーにアリソン・オークス、鼓手長にベンヤミン・ブルンス、アンドレスに伊藤達人、大尉にイェルク・シュナイダー、医者にファルク・シュトルックマン。望みうる最上の歌手陣と、磨き上げられたオーケストラによって、ヴァイグレ&読響コンビの到達点とでも言えるような記念碑的な公演になった。ステージ上には大編成のオーケストラが陣取り、精妙かつ鋭利なサウンド。休憩がなく、純然たる演奏会形式の公演ということもあり、長大な交響詩を聴いたかのような気分。
●ヴォツェック役は当初予定のマティアス・ゲルネからサイモン・キーンリーサイドに変更になったが、冷静に狂っている感じで共感可能なヴォツェック像。キーンリーサイド、ずいぶんキャリアが長いはずだが、あまり姿が変わっていない。マリー役のアリソン・オークスは同コンビによる「エレクトラ」で、題名役に負けないパワフルなクリソテミス役を歌っていたが、今回も強烈。ヴォツェックを返り討ちにしてくれそうな迫力。おしまいで出てくる子どもたちはTOKYO FM少年合唱団。みんなうますぎて驚愕。「ホップ、ホップ!」に震撼。
●「ヴォツェック」って、ダークサイドの「ばらの騎士」感がある。ワルツが奏でられ、社会階層と愛の物語で、伝統の再構築で、幕切れで子供が話を締める。
●聴いた後に無性に甘いものがほしくなるオペラ。アイスモナカ、かな。
March 13, 2025