●年内の仕事を片付けられずにがっくり。物語に飢える。そこで、呪術性を求めることにした。
●マルティヌーのピアノ協奏曲第4番「呪文」を聴く(このCDに収録。リンク先のamazonには書いてないけど入っている)。すばらしく眩暈感があって満喫。マルティヌーはワタシにとってはヤナーチェク以上に「異質であること」が魅力な音楽で、わけのわからん語法で書かれた懐かしい音楽って気がする。
●小野正嗣の「にぎやかな湾に背負われた船」を読んだ。くらくらするほど傑作。海辺の集落を舞台に、数代に渡って町に蓄積された記憶の物語であり、都市が捨て去った日本版魔術的リアリズムのなかの日常の物語。三島由紀夫賞受賞をうたった帯に筒井康隆の推薦文があるが(ガルシア=マルケス+中上健次)、これを読まなくてもどうしたってガルシア=マルケスを思い起こす。お正月、田舎に帰省する人にオススメ(笑)。(12/28)
Books: 2003年12月アーカイブ
December 28, 2003
マルティヌー、小野正嗣
December 17, 2003
「葉桜の季節に君を想うということ」
●われながら思いっきりわかりやすい消費行動なんだが、「このミス」を読んだら、今年の国内ベスト1に選ばれていた歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」(文芸春秋)を読みたくなって、ゲット即読了。傑作。
●終盤にある転換点があって、それまでに読んできた光景がガラリと変わって見える。これがもう笑ってしまうほど鮮やかで、ワタシはあわてて冒頭から再度目を通し、自分が読んだものを確かめた。反則なし、フェアー・プレイである。小説としても今日的な視点が盛り込まれていて(まあ多少は異論もあるにしても)読み応え十分。この書名と装幀(←京極夏彦のクレジットあり)にまた読み終えてから感心しちゃうのだなあ。巧い、巧すぎる。なお、巻末についているオマケは蛇足だと思うので、先に見ちゃうと大凶。(12/17)