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Books: 2010年3月アーカイブ

March 23, 2010

「続クラシック迷宮図書館」 (片山杜秀著)

片山杜秀の本 4 続クラシック迷宮図書館●えっ、もう出たの? そう、出たんである。片山杜秀さんの「続クラシック迷宮図書館」(アルテスパブリッシング)。以前に「クラシック迷宮図書館」をご紹介したのが今年の1月。あっという間に続巻が出た。「レコード芸術」誌連載「片山杜秀のこの本を読め!」の2004~2010(最近だ)までの回を中心に収録してある。書評なんていうのはどんな雑誌にもあるが、音楽書の書評がまとめて一冊になって(いや二冊だ)、それがとことんおもしろいというのは片山さん以外ではありえないこと。帯に「面白すぎて小説が書けない! 高橋源一郎(作家)」とあるのだが、これはTwitter上で高橋源一郎氏が本当にそう呟いていたんである、たしか。
●で、片山ファンに朗報。3/25(木)、というともう明後日なのだが、19時よりジュンク堂書店新宿店にて、片山杜秀さんのトークセッション「音楽は読め!」が開かれる。「続クラシック迷宮図書館」 刊行記念。詳細は版元のアルテスパブリッシングのこちらにてご確認を。片山さんはトークも味わい深いんすよ。これ、行けばそこで本を買ってサインしてもらったりできるんすよね?

March 17, 2010

「人生のちょっとした煩い」(グレイス・ペイリー著)

「人生のちょっとした煩い」●なぜかわからないのだが、Amazonがワタシにこの本を薦めてきた。「人生のちょっとした煩い」(グレイス・ペイリー著/村上春樹訳/文春文庫)。えっ、グレイス・ペイリー? 読んでないなあ。村上春樹にもあまり親しんでないんだけど。でもなにか気になって、あえてAmazonに言われるがままに買ってみた。すると、悔しいことに、これがおもしろかったんである。
●グレイス・ペイリーは1922年ニューヨーク生まれのロシア系ユダヤ人作家。1959年の本なので時代背景をある程度意識しておく必要があるが、それにしても古びていない。新鮮だけど普遍的。描かれるのは、おおむねタフな女性とどうしようもない男性。辛辣さと独特のユーモアが一体になっていて、特に男の描かれ方っていうのが、女性作家じゃなきゃ書かないだろうっていう身悶えしそうな真実だらけ。今がよければそれでいいみたいな単純な生き物っぷりとか。短篇集なんだけど一作ずつゆっくり付き合ったら(読み飛ばすには密度が濃くて味わい深すぎる)、読み終えるまでにずいぶん時間がかかってしまった。
●お気に入りを3篇挙げるなら、「コンテスト」「変更することのできない直径」「そこに浮かぶ真実」、それと「人生への関心」も外せない。あ、これじゃ4篇か。まあいいか。「人生への関心」は、ある年のクリスマスに夫が奥さんに箒をプレゼントするところからはじまるんすよ。素敵なちり取りとセットになってるヤツ(笑)。やれやれ、降参。

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