●ふー。じっくりと音楽を聴いたり本を読んだりする時間がまったく取れなくて四苦八苦、あれやこれやみんなうまく行ってくれるといいのだがと祈りつつ、近頃CDプレーヤーを通り過ぎていった音楽たち、聴かれたというよりは流されてしまったという、留保させられたままのディスクにゴメソ申し訳ないと頭を下げながら、列挙、無謀に。
●もともと大好きな曲であるが、例のドラマ以来また頭のなかでの占拠率高まり中。せっかくであるし新録音をということで、モーツァルト:2台と4手のためのピアノ・ソナタ集。ピアノはエリック・ル・サージュとフランク・ブラレイ。溌剌、快活、猛烈に楽しい。使用楽器は19世紀後半のスタインウェイということで、同時代でもないしモダンでもない中間点。どして。この二人が並ぶと、ワタシのなかでは黒騎士と白騎士ってことになってる、仮に実像オッサンであったとしても。
●ブリテン没後30周年。アニヴァーサリー企画がなんのためにあるかといえば、ワタシみたいに全然これまでブリテンになじんでない人間が新たな音楽と出会うため。もともとワタシは男性ヴォーカルの曲を聴かない傾向にあるので、ブリテン&ピーター・ピアーズのコンビは何光年もの彼方に遠ざかりがちである。でも思い切って、ブリテン:カンティクル&ウィリアム・ブレイクの歌と箴言。カンティクルは宗教的なテーマが題材になっているから、むしろ併録の「ウィリアム・ブレイクの歌と箴言」が気になっていた。こっちは有名な「虎よ、虎よ」もあるし、しかも箴言付きで楽しみだなー、と。詩と箴言の選択はピアーズだが、歌はフィッシャー=ディースカウ。ところがこの曲がなかなか晦渋な曲で、むしろカンティクルのほうがよっぽど聴きやすい。訳詩まであるのに、こんなに自分に響いてこないなんて。準備不足といったん退却する。ちなみにブレイクの訳詩は故三浦淳史先生のもので、氏のことを懐かしく思い出した。
●このままブリテンから逃げ去るのはあまりに癪なので、旧譜からなにかと思って棚から引っ張り出したのが、アンスネスのブリテン:ピアノ協奏曲。まだブリテンが器楽作品をたくさん書いていた初期作品。聴いて少し安堵する。全4楽章、トッカータ、ワルツ、アンプロンプチュ、マーチというものすごい構成の曲。第2楽章のワルツはラヴェルのラ・ヴァルスを連想させるんだけど、なにか関連はあるんだろか。
●しかしブリテン聴くなら、オペラ聴かなきゃなあ。わかっちゃいるが、あと一歩近づくにはなにか触媒が必要。
Disc: 2006年11月アーカイブ
November 24, 2006