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Disc: 2009年7月アーカイブ

July 16, 2009

ニューヨーク・フィルがiPhoneアプリ/マゼールのマーラー交響曲全集

●また親切な方から教えていただいた情報。ニューヨーク・フィルがiPhoneアプリを配布中。iPhoneアプリを提供する初のオーケストラである、と。ワタシはiPhoneもiPod Touchも持っていないので試せないのだが、以下からダウンロードできる。無料。メニュー写真を見ると、ニューヨーク・フィルの演奏会情報、チケット購入のほか、同オーケストラのライヴ音源を聴けるようになっているようだ。

http://nyphil.org/buy/eStore/iphoneApp.cfm

●そのニューヨーク・フィルだが、2002~2009にかけてのロリン・マゼール音楽監督時代を記念して、ライヴ録音によるマーラーの交響曲全集を配信している。交響曲第8番「千人の交響曲」のみ8月25日のリリースとなるが、それ以外の1番から第10番アダージョはすでに各配信サービスで販売されている。
マゼールのマーラー●販売チャンネルは、iTunes,米amazon.com, emusic, HDtracks, ClassicalArchives, instantEncoreとたくさんそろっていて、「そういうことになっているのか」とあれこれ発見があったのだが、このあたりについてはまた改めて話題にしたい。iTunesも米amazon.comもDRMフリーの行儀の良いファイルを販売しているが、後者は諸般の事情で日本からは購入不可。iTunesのほうは日本語&日本円で購入できる。

New York Philharmonic & Lorin Maazel - Mahler: Symphony No. 9 (Live)マーラー:交響曲第9番 マゼール指揮ニューヨーク・フィル

July 15, 2009

バリーニによるリスト編曲の「第九」

●リストってワイマールの宮廷劇場で開かれたベートーヴェンの生誕100年を祝う演奏会で、「第九」の指揮をしてるんすよね。20世紀半ばくらいにどんなベートーヴェンが演奏されてたかはワタシらは録音で知ってて、一方でベートーヴェンが生きてた時代にどんな「第九」が演奏されてたかも(本当はわからないかもしれんが)ある程度復元されてることになってるわけだけど、その両者ってぜんぜん違うことになってるじゃないですか。だとすると、その中間くらいにあるリストの時代の「第九」ってどんなふうに演奏されてたんすかね。机の引き出しがタイムマシンになってたら、過去に旅してリスト指揮の「第九」とか録音して持ち帰りたい。
バリーニの「第九」●リストはベートーヴェンの交響曲9曲をピアノ用に編曲している。今はオケの演奏を聴きたいと思えばいくらでも録音で聴けるし、それどころか「第九」についていえば生演奏だって12月半ば以降は首都圏で毎日(場合によっては1日にいくつも)演奏されるわけだ。だからリスト版「第九」を聴く機会はそう多くはないんだけど、ときどき気合の入った録音が出てくる。これはイタリアのピアニスト、マウリツィオ・バリーニが最近DECCAに録音したディスク。スケールの大きな音楽を作っていて、実に雄弁。本来オケと独唱と合唱で演奏するものをピアノ一台で演奏してるわけだから、そこに「欠落」を感じてもおかしくないのに、このバリーニの演奏を聴いているとむしろ「過剰」を感じかねない。なんて立派で巨大な音楽なんだろう。
●マウリツィオ・バリーニ(Maurizio Baglini)って日本語で書くとポリーニと一字違いになっちゃうんすよね……。amazonで検索すると「みつかりません。もしかしてポリーニ?」みたいに言われちゃうのが惜しい。来日もしてるのに。ところで「ん、DECCAからバリーニのCD? そんなものお店で見かけんぞ」と疑問に思われる方も多いだろうから、少し説明。これはイタリアDECCAのリリースなんすよ。だから日本はもちろん英仏独のamazonでも商品を扱っていない(イタリアにamazonはない)。で、イタリアのユニバーサルのサイトを見ると、いろんな見たことのないディスクが出ている。あっ、カシオーリってイタリアじゃDECCAからCD出してるんだ、とか。
●このCD、アーティストのエージェント氏から売り込まれて取り上げているのだが(一面識もない、でも割とよくあるパターン。みんなどうやってこの日本語サイトを見つけるの?)、どうも日本からの適当な入手先が見つけられない……スマソ。iTunesでも取り扱っていない。こういうローカル・リリースのものこそデジタルで配信してくれたらいいと思うんだが。

July 1, 2009

ラフマニノフの「鐘」

●フィギュアスケートの浅田真央が、今季のフリーの演技にラフマニノフの「鐘」を使用。と、ニュースで聞いて「えっ、それってどの曲だっけ?」と戸惑ったのはワタシだけじゃないと思う。
●この「鐘」っていうのは、有名な前奏曲嬰ハ短調Op.3-2のことなんだそうだ。この曲、ワタシはそう認識してなかったんだけど、最近は「鐘」っていう愛称が付くことが多いっぽい。初期の作品ながら作曲者本人がリサイタルで好んで弾いた(弾かされた)人気曲で、曲名でピンと来なくても聴けば「ああ、あれか」とわかるタイプの曲。古い録音だが、ラフマニノフ本人の演奏も残っている(このCDの16トラック目。amazonで試聴しようとすると「バッハ=ラフマニノフ編」と本来次のトラックに付くべき文言が誤ってくっついていて紛らわしい)。このディスクでも「鐘」なんてタイトルは付いていないんだが、「前奏曲嬰ハ短調」じゃフツーの人はなかなか興味を持ってくれないので、この手の愛称は歓迎する派。音楽の内容にも即してるし、これからはワタシも「鐘」って呼ぼう……いやどうかな。
●ラフマニノフは「鐘」がやたら出てくる。そもそも「鐘」っていう作品が別にある。管弦楽、合唱、独唱のための「鐘」作品35。フィギュアスケートのファンがまちがってこっちのほうを買ったりしないか心配だ。ていうかまちがってもそれはそれで悪くないか。ピアノ協奏曲第2番の冒頭も「鐘」の音だ。ロシア正教の「鐘」なんか聞いたことがなくても、「鐘」って伝わる。無伴奏の合唱曲「晩祷」からもところどころ鐘のような響きが聞こえてくる。鐘の音を慕うのは、少年時代への郷愁からか、あるいはロシア人としてのアイデンティティの表明なのか。

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