●ついに日本でも「Amazon mp3」がスタートした。朗報である。すでにAmazonの海外サイトではかなり前からmp3のダウンロードサービスが始まっていたのだが、それらはみな国内向けサービスであって、日本のクレジットカードでは購入することができなかった。いったいいつになったら日本でのサービスが開始されるのかと鶴首していたんである。
●「すでにiTunesがあるのに、どうしてAmazon mp3が欲しいのか?」と思われるかもしれない。理由はいくつかあるが、最大のものは「iTunesではiTunes Plusと明記された音源以外はDRM(著作権管理機能)付きのファイルが販売されており、これは購入後もPCを買い換えたりするたびにユーザーを悩ます存在なので使いたくない」からだ。DRM付きのファイルにはいろいろな心配が付きまとう。たとえば、配信サービス会社がなくなったり、事業を他社に売却してサービス方針が変わったりしたら、いつかその音源は聴けなくなるんじゃないかという不安がある。が、これは米国ではすでに過去の問題だ。なぜなら本国のiTunes Storeでは2009年1月よりメジャーレーベルを含むすべての音源をDRMなしのiTunes Plusで販売することにしたからだ。
●しかし、日本のiTunes Storeはそうなっていない。クラシックに関しては、EMIとほとんどの独立系レーベルはDRMなしの音源を販売しているが、他のメジャーは変わらずDRM付きのままである。大人の事情があるんでしょうか。
●で、Amazon mp3だ。こちらは名前の通り音源はmp3形式なので、最初からコピー自由で、DRMは付いていない。ユーザーはなんの心配もなく購入できる。すばらしい。ただし、日本のアマゾンmp3のクラシック・コーナーを見たところ、現状ではEMIと独立系レーベルが参加しているのみで、EMI以外のメジャーレーベルの商品が見当たらない。結局、国内事情に関して言えば、iTunes Storeと状況はそう変わっていないんである。音楽のダウンロード販売に関しては、いまだに「国境の壁」というのは相当に高い。
●でもまあ、慌てることはないか。ダウンロード販売がないものはCDで聴けばいいんだから。CDにはCDのよさがあることも確か。いずれにせよ、こういったものは最終的には市場の要請で落ち着くところに落ち着くものと信じている。
●オープンして間もないからなのかどうかはわからないが、バーゲン品もいろいろ取り揃えられているようだ。価格は変動するのでここには書かないけど、フェドセーエフのグラズノフ:交響曲全集とかラトル/ベルリン・フィルのマーラー9番とか。こういうのは眺めているだけでも楽しい。ま、眺めているだけではなかなか済まないんだが。
Disc: 2010年11月アーカイブ
November 12, 2010