●ちょうど一か月前、ナクソス・ミュージック・ライブラリーに Harmonia Mundi が加わった。どんどんと登録アルバムが増えて、今日の時点でちょうど(?)512枚ものアルバムが聴けるようになっている。さすがHarmonia Mundiというお宝ラインナップで、恐るべきインパクト。こんなにあっても聴けないっていうくらい。
●実をいえば、英語版のNaxos Music Libraryでは、さらに強烈なことになっていて、なんと、先月からSony Classicalが参加している。やはり、こうなったのね……。ついに英語版ではメジャー・レーベルのなかで唯一ユニバーサル・ミュージックだけが参加していないという状況になった。Naxosが廉価盤専門レーベルとして日本に上陸した頃のことを思い出せば、まったく隔世の感がある。
●かつてのレコード・ファンは「最初の一枚」から出発して、それが二枚になり、三枚になり、十枚になり、百枚になり、千枚になり……とライブラリを構築していったわけだけど、定額制音楽配信時代では、まず最初の一歩が「数万枚」になるわけだ。そこから、自分の好きな音楽を探し出す旅に出る。たとえば作曲家の時代やレーベルで大ざっぱな好みを見つけて数千枚に絞り、そこからあれこれ聴いてどうやらこのあたりがおもしろいという数百枚を選び、猛烈に好きな数十枚を発見し、そして一生付きあいたい数枚に出会う、という逆のプロセスをたどることになるのかもしれない。
Disc: 2013年10月アーカイブ
NMLに参集するレーベルたち
SONYのMusic Unlimited、その後
●以前にもチラッとご紹介したが、SONYの定額制音楽配信サービス Music Unlimited を利用すると、ユニバーサルやSONY、EMIなどメジャーレーベル音源もストリーミングで聴くことができる。しばらく継続利用してみて感じたことをいくつかメモ。
●まず、サービス開始時点では音声フォーマットがHE-AAC 48Kbpsの一択だったが、現在ではAAC 320kbpsの高音質モードが加わっている。HE-AAC 48Kbpsについてはいろいろな見方があると思うが、なんといっても48Kbpsという数字の小ささが引っかかった。この高音質モードができて、ようやく使う気になった。
●さらに価格も当初の1,480円/30日間から、980円/30日間に値下げ。CDを買うことに比べれば、タダみたいなものだ。もっともそんな発想は長年ディスクを購入してきた旧来の音楽ファンだけのものであって、今は有料サービスは無料サービスと比較しての優位が求められることになるのかも。YouTubeでタダで聴けるのに、どうしてお金を払うの?的な。
●で、このサービス、使いやすいかといえば、ぜんぜん使いやすくない。現在、PC上のブラウザから利用しているが、アプリケーションの起動が遅いし、もっさりとしたインターフェイスにはややストレスを感じる。プレイボタンやポーズボタンをクリックしても何秒も待たされる。再生中に突然落ちたり強制ログオフしたりしてアプリケーションが再起動することもある。検索機能も弱い。ベートーヴェン「運命」の第3楽章と第4楽章の間のように複数トラックがつながる場所では、盛大にギャップ(空白)が発生する。ギャップレス再生ができないのはナクソスも同じだが、Music Unlimitedのギャップはほとんど耐えがたく長い。マシンパワーが高ければもっとさくさく使えるのかもしれないが、どうだろうか。
●そんな次第で、現状ではナクソス・ミュージック・ライブラリーのほうがはるかに先を進んでいるし、使いやすい。ただ、それでもMusic Unlimitedに価値があるのは、メジャーレーベルの音源が入っているからに尽きる(検索は欧文で)。鑑賞するというよりは確認用というか調査用みたいな感じの使い方になりがちとはいえ、このサービスに助けられたことはすでに何度もある。激しく一長一短のあるサービスだが、もはや手放せないものになりつつある。