●リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」というと、まっさきに思い出してしまう「騎士ジャケ」。マゼールがクリーヴランド管弦楽団を指揮したリヒャルト・シュトラウスの交響詩集。マゼールは後にバイエルン放送交響楽団と同曲を再録音してしまったため、Apple Musicなど配信ではそちらの新録音ばかりがヒットしてしまうのだが、より聴きたくなるのはこちら。この国内盤は2枚組になっていて、DISC2には「ドン・ファン」「ティル」「死と変容」が収められている。で、ジャケットの裏表紙はDISC2のジャケット(骸骨とドン・ファン、ティルを思わせる3人の横顔が並ぶヤツ)になっているのがすばらしい。
●CBSソニー時代のジャケットには忘れがたいものがいくつもある。強烈なのはバーンスタインのストラヴィンスキー「春の祭典」。アンリ・ルソー風の密林に姿を見せる巨大なストラヴィンスキーの顔。このジャケットを最初に目にしたのは中学生か高校生くらいの頃だと思うが、最初、この巨大な顔がストラヴィンスキーであることがわからなかった。作曲家の顔なんて知らなかったので。この丸メガネのオッサン、だれ?みたいな。
●こちらはバーンスタインのホルスト「惑星」。曲名の書体に時代を感じるが、レトロフューチャーなテイストは今見てもカッコいい。抽象的な画だが、LPレコードの盤面と太陽系の図を重ねて表現しているのが巧み。SF的なイメージもうっすらと想起させる。
●いわゆる歴史的名盤、ブーレーズとクリーヴランド管弦楽団の「春の祭典」。これも後に再録音が出て存在感は相対的に薄まってしまったが、時代を伝える貴重なドキュメント。画面を分割して9コマ漫画みたいになっている。同じCBSソニーでグールドの「ゴルトベルク変奏曲」旧盤などにも見られるが、画面を細かく分割してリズミカルな柄を作り出すという手法は、LPレコードの大きなサイズだから生まれた発想で、はじめからCDだったらこのアイディアは出てこなかったんじゃないか。
●グールドはどれもこれも名ジャケットばかりだが、あえてアーティスト写真を用いていないものを選ぶとすると、好きなのはハイドンのピアノ・ソナタ集。なんというか、ハイドンっぽい。明るくて楽しげで、つい手に取りたくなる。書体もいいし、56 58 59 60 61 62 と6曲の番号が等間隔で横に並んでいるデザインも秀逸。
Disc: 2018年2月アーカイブ
February 14, 2018