●つい先日のことだ。CDプレーヤーにディスクを挿入すると、「キュキュ、キュルルルルルル……」と戸惑っているような回転音が発せられて、数秒後にディスクが吐き出された。まるで、どうしようもなく不味い食い物を口に入れてしまい「オエッ!」と吐き出すかのような挙動である。CDが古くて腐っているのかというと、そんなことはない。リリースされたばかりの新譜だ。ためしに別のディスクを入れると、あるものは飲み込んでくれたり、あるものは吐き出したりする。が、件の新譜はどうしても飲み込んでくれない。今後は「趣味に合わない音楽は再生しません」というCDプレーヤーなりの宣言なのか。
●さて、どうするか。いくらデジタルオーディオに移行しているとはいえ、まだまだディスクでしか聴けない音源は山のようにある。プレーヤーを買い替える? まだCDプレーヤーは販売されているのだろうか。というか、これ、昔ながらの単品コンポ用の巨大弁当箱形のプレーヤーなんだけど、今にして思うと単にCDからデジタル信号を読み出してアナログ変換して出力するだけの専用機器がどうしてこんなに大きくて重いのか不思議。手のひらサイズのPCでWindows 10が動くこの世の中で。ぶつぶつ……。
●しかしこういう事態はよくある。今までにもミニコンポとかゲーム機で、ディスクを読み込まなくなる現象になんども対処してきた。ずっと前に購入したCD型のレンズクリーナーがあったはずだと思って探すと、「湿式マルチレンズクリーナー」なるものが見つかったので、これを入れてみることに。最初はやっぱり「キュキュ、キュルルルル」と音を発して「オエッ!」と吐き出したが、なんどもなんども押し込むと、やがておとなしくディスクを飲み込んだ。ここで再生ボタンを押すと、ディスクが回転してレンズをクリーニングしてくれるという仕組み。しっかりと念を押して2回クリーニングする。どうしても飲みたくないといっている苦い薬を無理やり飲ませたような気分。で、件のディスクを入れてみると、ちゃんと読み込んだ。どのCDを入れてもきちんと再生する。すごいじゃないか。レンズクリーナーがCDプレーヤーに打ち勝った、今日のところは。
Disc: 2018年10月アーカイブ
October 16, 2018