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Disc: 2020年12月アーカイブ

December 2, 2020

2020年度 第58回「レコード・アカデミー賞」(音楽之友社)が決定

2020年度 第58回「レコード・アカデミー賞」(音楽之友社)が発表された。これは一年間に国内のレコード会社から発売されたディスクからすぐれたものを選んで、レコード会社を表彰するという賞。月刊誌「レコード芸術」の新譜月評で高評価を得たディスクから選ばれる仕組みになっている。
●で、大賞に選ばれたのは、パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロック・オーケストラのベートーヴェン「第九」+合唱幻想曲(クリスティアン・ベザイデンホウト)。偶然にも今月、エラス=カサドが来日してN響の「第九」を指揮することになっている(例によって14日間の隔離期間が必要となるわけだが)。同じ指揮者の「第九」を、フライブルク・バロック・オーケストラの録音で聴き、N響の生演奏で聴くという比較ができるわけで、こんなチャンスはめったにない。
●大賞銀賞はガーディナー指揮イギリス・バロック管弦楽団&モンテヴェルディ合唱団のヘンデル「セメレ」。大賞銅賞はパブロ・エラス=カサド指揮マーラー室内管弦楽団のファリャ「三角帽子」&「恋は魔術師」。なんと、エラス=カサドがダブル受賞。これ以外にも部門賞があって、エラス=カサドは協奏曲部門でも、クリスティアン・ベザイデンホウトとフライブルク・バロック・オーケストラとの共演によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番で受賞している。エラス=カサド、三冠達成。
●以前、当欄でGramophone Classical Music Awards 2020グラミー賞2020のクラシック音楽部門をご紹介したが、それぞれずいぶんと雰囲気が違う。当然のことながら、受賞ディスクの顔ぶれもずいぶん違っていておもしろい。審査側の価値観の違いもさることながら、背景にあるその国の聴衆の価値観を代弁している面もかなりあると思う。たとえばグラミー賞のBest Orchestral Performanceはドゥダメル指揮LAフィルによるアンドリュー・ノーマンの「サステイン」なんだけど、これなんてドイツ・グラモフォンのリリースながら配信のみでディスクがないから、レコード・アカデミー賞では候補にすらなり得ないし、仮にディスクがあっても管弦楽部門を受賞する可能性は限りなくゼロに近い。SpotifyやApple Musicで音楽はグローバルに配信されているようでいて、受容のあり方はあくまでローカルなものだと感じる。

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